決まり、というもの。
超短編です。
過度な期待はしないでください。
ある日僕は、お役目に連れていかれる子供たちの列をみた。
ある子供は泣きわめき、また、ある子供はこれから先のことがわかっているのか皮肉まじりの笑顔を見せていた。
それは、お役目というものが極楽だと聞いていた僕にとって、大層不思議な光景だった。
だから僕は先生にこう問いた。
「なぜ、あの子達はあんなに反抗しているのですか?」
と、先生はそれにすぐ答えてくれた。
「あの子達の行き先は決まってしまっているんだ。そうなるということが、目に見えてわかっているんだ。だから、それに反抗するのは仕方のないことなんだよ」
そして、先生はこう続けた。
「私もむかしは、定められたことに何度もあらがおうとしたよ。それは、規則だったり、校則だったり、ルールや、法律だったことだってある。その頃はなんでもかんでも、敵だと思い込んでいた。でも、本当は違ったんだ」
僕が黙っていると、先生は、それはねと、静かに続けた。
「敵ではなくて、生きるための最大の味方だったんだよ」
読んでくださって、ありがとうございました。