兄と弟
「久しぶりだな。元気にしてたか?」
「うん。」緊張で声が出ない。
「お前、大丈夫か? 風邪でも引いたんじゃないのか?」兄が顔を覗き込んでくる。
その手を払いのけて、「全然。元気。元気。」と答える。
「そういえば。兄さん、結婚するんだって。」
兄は19で新徳川家からすると、この年で結婚していないのは極めて珍しいらしい。
ついでに俺は15(主人公の基本情報がこんな適当な感じで出してすいません)
「あぁ」急に兄の声のトーンが下がった。
「兄さん。この話になった瞬間やたらとテンション下がったけど、まさか相手あれなの?」
「あれって何だよ?」
「B U S A Ⅰ K U」
「違うけど。っていうかおもしろないから、ローマ字表記とかやめてくれ」
「兄さん何て?違うの後の部分。聞き取れなかったんだけど。」
「はぁ、何も言ってない『けど』」
「『けど』の部分は聞こえた。その後なんだけど。
まぁいいや。写真を見せて。相手の。」
「その前に相談って何だ?」
「後回しにしようよ」
「時間の無駄。早く言え。」
「兄貴って夢ある?」
「俺は特にないな」
「でも俺はあるんだよ」
兄の目を見て、この思いが伝わるようにと願いながら言う。
「将軍になるという夢が」
そして、義雅は兄の顔を見る。
すると驚いたことに、笑みを浮かべていた。
兄は言った。
「知ってた」と。
「え?」義雅は驚きのあまり素っ頓狂な声を出す。
そして、気を取り直して、兄に問う。「いつから?」
兄は答える。「お前が生まれた時から。」
「は?」義雅には兄は真剣に言っているのか、ふざけて言ってるのか、分からない。
すると、弟の疑問に答えるかのように「ホントだよ」と言う。
そして、弟に向けて語りだす。真実を。




