09 呼び出し、沈黙
夜、呼び出された。
それは、食事の後に与えられた消灯時間までの僅かな間でのこと。
人は訓練の疲れを明日に持ち越さぬようにストレッチや仲の良い者どうしでマッサージをしあっていた。
自分は班員となった者達に声をかけようとしたが、怯えられ1人となっていた。オリビオは周りに壁…というか人が集まっていて声をかけられない。
部屋に戻るかと思っていた際にカロンとばったり会った。
「おい、お前」
「…俺か?」
「後で面ァ貸せ」
出会い頭に睨まれながらそう告げられた。
周りを囲む男共らからもガン付けられていて、あまりいい気はしない。
「…_──」
「ん?」
去り際に小声で告げられたことに疑問符を浮かべていたら、彼らはその場を去っていた。
時計を確認し、軽い運動をした後に指定された場所へと赴く。
場所は寮の3階、西の角部屋。
この寮は西と東で男女の割り振りがされている。貴族の者は上階…4,5階が割り振られ、平民は2,3階が割り振られる。
しかし、騎士団へと入団する女性の数は毎年少なく、平民出身者は更に少ない。
なので西棟3階は空き部屋しかなく、物置状態となっていた。
そして、部屋の前に1人の先客がいた。
「あ、あの…どぅ…も」
ベッタと呼ばれていた女だ。
「……お前もカロンに呼ばれたのか?」
「………私は、オリビオ様に呼ばれました…よ…?」
何故に疑問符を付けるのか。
何故かこの人、他の連中よりも俺のことを避けている印象がある。
ガチャ…と扉が開く音。
部屋の中からカロンが顔を出し部屋に入るように言ってきた。
重たい沈黙が広がる。
それを破ったのはカロンであった。
「なんでお前がいんだよ」
それはベッタに向けられた言葉。
「えっ…わ、私はオリビオ様にここへ来てくれと…」
「そうか」
「………」
(続かない…話が…続かない!)
ヘリオスは静かに頭を抱えた。
(こういった時はどんな話をふれば良いのだ?…国境防衛隊の連中は…駄目だ酒と飯と奥さんに尻に敷かれてることしか喋ってない…参考にならん)
表情には出していないが、彼から発せられる気配が重たいことに他の2人も気がつく。
(ひょぇぇ…こ、怖いぃぃ…顔の半分火傷で迫力あるし背も高いし、何考えてるかわからない…!しかも、この人の発する魔力の圧が合わさって…吐きそう)
(…ただもんじゃあねぇのは解っていたが…次に何仕出かすかわかんねぇのがヤベェな。全く隙が無い…貴族の嬢ちゃんも怯えてるし…)
3人が重たい沈黙の中でガチャリと扉が開く。
「うむ…遅れてしまっ─…なんだこの重たい空気は?」
オリビオが部屋に入ってきた。




