07 剣士の振る舞い
ガラの悪そうな男は剣をオリビオへと向ける。
俺は少し前へ出ようとして、オリビオは片手を上げてそれを制する。
一歩前へ、ガラの悪そうな男に進む。
「名を聞こう、私に異議がある者よ」
「ハンッ…カロンだ、お貴族様」
「私はオリビオだ、知っているかもしれないが名乗ろう!オリビオ・フォン・ネレイスである。それにしても…カロン…カロン……聞き覚えがないな、君はどんなツテでここへ来たのかな?」
「オレはオレ様の実力でここに来たんだよ!あんたらお貴族様と違ってなァ!」
「オリビオだ…名乗ったのだから名で呼びたまえ不敬だぞ」
今までとは違う、低い声で相手だけではなく場を支配する。
「そんな睨むなよ、権力だなんだと脅すつもりか?」
意に介さないカロン。
「フフフ、そんな品の無いことはしないよ…ただ、君が…君たちが納得できる決め方は何かあるのかい?」
相対する男はニヤリと笑う。これを、この時を待っていたと渇いた唇を舌で濡らすように。
「コレさ」
スルリと…腰に下げた剣を引き抜く。
先程渡された剣。
一度も振られたことのない新品の刃は輝きと共に鋭く首へと突き立てられる。
「野蛮な…だが、それで納得するならば受けよう」
「やるなら鞘に入れて、だな」
両者の間に立つ。
「あん?…お貴族様の腰巾着が出しゃばんなよ」
「コイツとは昨日知り合ったばっかだ、そんなモノになったおぼえはない。ただ、流血沙汰は避けたい…打ち身ならともかく、新人が入団2日目で貴族を斬りつけるなんて騒ぎになるだろ」
「…ハッ!まぁ…いいぜ後で文句言うなよ?」
カロンは剣を鞘に入れ、鞘ごと剣を構える。
オリビオも同じように剣を鞘に入れたまま構える。
「あー…審判なんてやったことないんだが、勝敗のつけ方は?」
「急所に当たれば敗北…それでいいかな」
「問題なし、それぐらいの判断は自分らでつけられる…邪魔すんなよ」
「わかった…目を光らせておく」
周りにいた人達も手伝って机を動かし場を空ける。
観戦するように周囲を囲む者達はそれぞれの表情を浮かべる。
ある者は、値踏みするように。
ある者は、忌々しげに。
ある者は、不安に押し潰されるように。
ある者は、好戦的に口角を上げて。
その場に居合わせた者達の視線を集める2人はそれぞれ身体を解したりし戦いに備える。
懐から革袋を取り出して中から硬貨を取り出す。
「落ちたら開始だ」
少し距離をとった2人の間に落ちるよう硬貨を放り投げる。
キンッと床に硬貨が落ちた音。
「始め」
声がけとほぼ同時にぶつかり合う剣撃が響いた。




