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06 貴族の振る舞い

 朝日が昇ると同時に目が覚める。

 顔を洗い、服を着替える。


 食堂にて適当な席に腰掛ける。

 ガヤガヤと人が集まり始め、俺の隣に至極当然のようにオリビオが座る。


「貴族サマ専用の食堂があると聞いたが?」

「あそこは好かない…ここは品に欠けるが、まぁ今は気にしない」


 暫くして、教官騎士の一人が現れグランドに集合するように伝えてきた。


────────────────────────

────────────────────────


「よし、集まりましたな!時刻通り正確とは…今年の新人は悪くないですぞ」

 訓練兵の前に並ぶ教官騎士の中央に立つグスタフさんが周りを見渡し頷く。


「これより、諸君らを二つの団体に分けさせてもらうそれぞれ名前を呼ばれた者から前へ、装備を渡しながら振り分けを行う」


 教官騎士が2人前に出て、それぞれ名前を読み上げられる。

 自分の名前が呼ばれ、呼んだ騎士の前に進む。

「装備をどうぞ、それとこちらを」

 剣と軽鎧を渡され、それから白い襷を受け取る。


 暫くして全員に受け渡しが終了した。


「剣と鎧は訓練用のものですが紛失破損のないように管理してください、そして襷の色は白と赤の2色で、同じ色の襷を持つもの同士が同じ組分けとなります」

「明日以降、合同訓練は早朝6の刻から始まり13の刻からそれぞれに分断して行います」

「以上です、開始」


 一瞬の静寂。

 各々が言葉を咀嚼し飲み込む間が生まれる。

 一早く動こうとした者はいたが、最も早く声を上げたのはオリビオであった。


「白の襷を受け取った者はこれより食堂に集合せよ!」

 他の者が声を上げるより一拍早く、手に持つ襷を掲げる。

「白の!襷を!受け取った者は!食堂に!集合せよ!」

 同じ言葉を繰り返す。

 200人程の見習い騎士全員の視線が集まったことを確認し、ゆっくりと見習い騎士寮一階の食堂へと歩き始めた。

 ヘリオスもその後に続く。


 背後からこちらへと動き出した人の足音が聞こえる。

 それから、赤い襷を持った者達も集合と呼びかけを始めた。


「よくやるな、おまえ」

「"おまえ"と人を呼ぶのは失礼だ、ヘリオス。品がないぞ」

「あー…悪い、オリビオ」

 それでいいと小さく頷く。

「他の者はついてきているか?」

 チラリと後ろを振り向く。オリビオは前だけを見ている。

「ああ、来てるぞ…それぐらい自分で確認できるだろ」

「私はそれほど器用ではない。有力な貴族は殆ど赤に行った…白にも複数人いるが最も位の高い家は私だ…であるならば、私が指揮を執らねばならない」

「…?」

「ハリボテの将で導くにはハリボテなりに役を観せねばならないのだよ…」

「よくわからんが、頭が有ると無いとじゃ変わってくるからな」

「君がやっても良いんだぞ」

「少なくとも貴族サマがいるんだろ?じゃあ俺には難しいな…爵位も貴族の出でもないからな」

 食堂へと繋がる大扉に手を伸ばし、開く。


「にしても、なんで食堂にしたんだ?昨日の式があった場所とかのが良くないか?」

「講堂は赤に譲ったのさ…それにここには比較的に集まりやすく、貴族側は立ち寄らないからね」


 中へと入り、オリビオは真っ先に厨房に向かい管理人へと話しに向かった。


「あ、あの!」

「ん?」

「ヒェッ!」

 声が聞こえた方へ顔を向けると悲鳴を上げられた。

 そこにいたのは、小柄な女性だった。歳は自分と同じか少し下に思えるが…あまり同年代との関わりがなかったヘリオスには正確な事はわからない。

 だが、見習いとはいえ騎士に女性がいることは珍しい。

「えっと…その…」

「…」

 その背後にも複数人集まっていて、代表として彼女が前に出たのだろう。

「…なんだ?」

「す、すみません!」

(こちらが口を開くだけで怯えられては話が進まないのだが…)


「あの…貴方も貴族でしょうか?」

「違うが」

「ヒィッ」

 目を合わせただけで怖がられてしまった。

「…話があるなら、言え」

 ため息混じりに後に控える連中にも視線を投げるが、視線を逸らされてしまった。


「…なんでそんなに怯えてるんだ?」

「ヒャッ…?!お、おお怯えてなんかい、いいませんわでございますよ?」

「…何語?」

 埒が明かない。

 するとオリビオが戻ってきた。

「おや、ベッタ嬢…彼に何か?」

 ベッタと呼ばれた女は視線を泳がせ返答を濁す。

 結局後に控えていた中から1人前に出てきた。

「私が答えさせていただきます。その者がオリビオ様に付き纏っていらしたので何処の出の者かを確認していました」

 それを聞いてオリビオは溜め息を吐く。


「彼は北部国境防衛隊の見習い騎士だったヘリオスだ…それと彼が私を付き纏っていた事実は無い…誤解しないように」

 一度言葉を区切って。

「それと、君が表立って聞けばよいだろう?何故ベッタ嬢を前に出したのか…聞いてもよいかな?」

 一歩前に出て威圧する。

「も、申し訳ございません」

 気圧されたのか男は退がった。


 オリビオは、まったくと頭を振りながら、気持ちを切り替えたのだろう、一層険しい表情となり口を開く。

「これで全員か?…急な呼びかけに応えてくれてありがとう。そして、これで私が君達を指揮することに疑問を持つ者はいないね」

 確認するような言葉だが、言外にいるはずがないと語っている。


そこに一つ、割って入る声が。 

「異議ありだ…お貴族様だかなんだか知らなねーが、オレは反対だ」

ガラの悪そうな男が1人。

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