02 嵐の前
朝日が昇ると同時に目が覚める。
視界の先の見慣れぬ天井と少しの肌寒さに少し思考する。
今日…正確には昨日から騎士団の寮での生活が開始した。
(昨夜は親父とグスタフさんと部屋に荷物を入れた後に飯を食って、親父と別れて…自室のここで寝たんだったか?)
鏡に写る自分の顔が見える。
黒い髪にまだ眠気眼の奥にいる金色の瞳、顔や首…いや、服の下にある古傷火傷…嫌なものが浮かびかけ頭を振るう。
ぐぅ…と鳴る腹の音に急かされながら、服を着替えて髪の毛を最低限整え外へ出る。
見習い騎士の寮の一階にある食堂。そこには数えるだけで60人ほどの自分と同じ騎士候補生がいた。しかし、ここにいるのはまだ全てではない。
自分も含めここにいるのは早期に入寮した者で、後々に3倍は来ると昨日グスタフさんが語っていた。
朝食のサラダとパンとスープをもらい黙々と食べ始める。
周囲は既に知り合いだった者同士で食事をしながら喋っていたりしているのだが、知り合いのいない自分は少し浮いているような気がした。
まぁ、そんなことは気にせずスープにパンを浸しながら、「肉ないと訓練とかキツくないか?」と思いながら食べきる。
食器を片付けていると、グスタフさんが食堂に現れた。
俺を見つけるとドンドンと近づいてくる。
「部屋に行ったがいなかったが…もう朝食は済ませたのでありますか?」
「はい」
「そうですか…これからお時間は?」
「日課の鍛錬でもしようかと思っていましたが…なにか?」
「実は、入団前の診断を受けてもらわなくてはならなかったのですが…すっかり忘れていましてな」
申し訳なさそうに頭をかく。
「それって今から受けられるの?」
「本日の12の刻に旧棟2階にて受けてもらいます」
「12か…わかりました」
「いやー…すみませんな〜こんな事では騎士として不甲斐ないですな」
グスタフさんと仔細確認をして別れ、食堂の時計を確認し、本日の予定を思い起こす。
新兵の顔合わせが…10の刻からだったから、その後に向かえば良いとのこと。
今はから少しの間は空きの時間であるため、軽めの走り込みでもしようと外へ出ようとして、背後から声をかけられる。
身なりの良い服装を身にまとった、少し神経質そうな男であった。
「貴様…何者だ?」
「なんだよ急に…」
「フンッ!…貴様の素性が気になっただけだ。随分と騎士長殿と親しげなご様子だったからね」
「グスタフさんとは昨日知り合ったんだが…俺の親父の昔の同僚だって話だ…だからじゃないのか?」
「何…?貴様の父上の名は?」
「はぁ…答える必要あるか…?……アーサーだが」
「アーサー…アーサー……」
「もういいか?」
話をきり上げこの場から退散する。
何か呼びかけられたが、聞こえないふりをしてやり過ごした。
少しの時間が過ぎた後、新兵の顔合わせ……言わば、新人歓迎会が行われた。




