13 戦闘配置
その日集められたのは、王都から東に半日ほど馬車で進んだ先にある騎士の修練所の一つ。
見渡す限りの緑の草原、中央を横切る大川。上流には山岳、下流には森林。
少し離れた場所に鏡合わせのように、林と古びた塔数棟が建っていた。
現在、中央の大川を挟んで組分けされた新兵が対岸で睨み合うように整列していた。
まるで鏡写しのように同じ草原、林、建造物が並べられている。
「開始の合図はこれより1刻後に大砲にて行う。各自持ち場につき、最後の準備時間とする!」
グスタフの号令と共に、組分けされた者達はそれぞれの本拠地となる塔へと向かう。
この場には塔が6棟建てられている。石造りの頑丈なもので対岸に3棟づつ建てられ、それぞれに旗が掲げられていた。
オリビオは旗を見て一言。
「真っ白じゃなく良かった…」
と言っていた。
理由を聞いたら「真っ白だったらあらゆる手で抗議していたさ」と答えられた。…理由を聞きたかったのだが。
「皆、聞いてくれ!事前に話たようにこれは防衛と攻撃の両方を行わねばならない─」
今回の模擬戦、そのルールは単純だ。
1つ、塔の旗を全て喪失した方の負け。
2つ、配給された装備のみを用いること。しかし、魔法については事前に規定された規模のものの使用は許可する。
3つ、配給された鎧の胸部に埋め込まれた硝子玉が砕かれた者は死亡したものとみなし、即刻模擬戦から回収される。また、それ以外にも危険と判断した場合も回収する。
上記3つである。
他にも危険行為や違反行為に対し上位騎士が介入する場合があることを知らされた。
先輩騎士は川の下流に本隊が陣取り、中立の立場として待機する。
また、支給された鎧について。
「鎧の胸のあたりに嵌め込まれているこの硝子玉についてだが…私の魔法が付与されておりまして、砕くことで魔法が解き放たれますぞ」
そう言ってグスタフは手に持つ鎧の胸の辺りを剣の柄で叩いた。
パリンっと音がしたと同時に鎧がものすごい勢いで上空へと飛び上がった…というより、空に落ちたようにも見えた。
「空に上がったら我々がすぐさま回収しますのでご安心を…ああ!そうだ、上に障害物があるとぶつかりますのでヘルムもしっかり被っておくのですぞ」
ドスンと勢いよく落ちてきた鎧を気にせずに話す姿に、新兵はドン引きした。
「─では皆、事前の作戦通りに…しかし、相手がどう動くかわからない…各々が最善と思った通りに動き給え!心配しなくともこれは訓練だ、先輩方も見てくださっている…安心して取り組もう!」
各自持ち場につき、自分も前線となるため前に出る。
中央の塔にはオリビオとベッタを含めた10名程度が左右の塔には15名程が守備として残り、残りの約60名で赤の塔を攻略する。
「支配─水─“千里眼・水”」
空中を浮遊する人の頭程の水球がゆっくりと空へと昇っていく。
「準備万端だな」
「後は、開戦の合図を待つだけ…だな」
《お二人は先鋒として突撃してもらいます…特にカロンさんは他の方への現場指令をお願いします…です》
「……慣れんな」
「突然くるとつい後ろを殴ってしまうな…」
《ひぇ…》
暫くして、開戦の号砲があがる。




