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☀ 妖精さんと私  作者: 雪*苺
【 14歳 】
9/23

⭕ 危険な子 9


 それからもチックが教えてくれる場所を私がこえして、イケメンな人が代わりに白石を置いてくれる前代未聞の共同作業(?)が続く。

 盤上を見ても相手が優勢なのか私が優勢なのかまったく分からない。

 こころしかイケメンな人と対局相手の表情がけわしそうに見える。


イケメンな人

「( 有り得ない…………。

   相手に与えた12ぶんのハンデが盤上から消えてしまった。

   12ぶんのハンデを取り返した!?

   それに……これは指導碁じゃないか!

   じつごとな指導碁だ………まるで遥か高見から盤上を見ているかのような──。

   この、囲碁を打った経験の無い初心者の筈じゃ──。

   さや君もいている。

   今の彼の棋力では彼女には勝てない事を──。

   このなにものなんだ!? )」


莢棊 

「( ──は?

   どういう事だよ!?

   たしかに俺が優勢だった筈だろ!

   置き石ハンデの12ぶんが無くなった!?

   どうなってるんだよ!

   なんで俺は囲碁のルールも知らないド素人しろうとに指導碁を打たれてるんだ!!

   こんな屈辱をあじわされるなんて──初めてだ!!

   院生にも打ちかたする奴なんて居ないぞ!!

   クソッ──ド素人しろうとに指導碁を打たれてけるなんてカッコわる過ぎるだろ!!

   こんな事、知られたら院生のはじさらしとして笑いものだぞ! )」


舘嵜春加

「 11ー6 」


イケメンな人

「( このの棋力は間違いなくプロ棋士並みだ!

   院生を軽くだけの棋力の持ち主だ!!

   原石の状態で、これほどとは──。

   彼女ならほんいんぼうと対等な対局が出来るかも知れない!!

   いや、対等じゃないな──ほんいんぼうにとって脅威の棋士ライバルとなる!! )」


莢棊

「 クソッ──こんな馬鹿な事が──!!

  認めるかよ!! 」


 ………………なんか勝手にヒートアップしてる??

 あんなに必死に黒石を打つなんて──。

 これ、いつ終わるのかな?


妖精チック

〔 そろそろ、トドメを刺そっか。

  いさぎよく、キュッと息の根をめてあげよう。

  ボクって優しいよねぇ~~ 〕


舘嵜春加

「( ほんとうに優しい奴は、自分で自分の事を “ 優しい ” って言わないけどね )」


妖精チック

〔 あははっ★

  わざ(わざ)指導碁で息の根をめてあげるんだよ。

  じゅうぶんに優しいよぉ~~ 〕


舘嵜春加

「( 指導碁?

   初心者がく打てるように盤上で導くってヤツ? )」


妖精チック

〔 そうだよ。

  ド素人しろうとめいはるに院生レベルのイキッテるちゅうぼうが12ぶんのハンデを取り返されて、プロ棋士も顔負けの指導碁でけるのさ!

  鼻をどころじゃないねぇ~~。

  プライドがこな(ごな)くだって自信を失っちゃうかもだねぇ~~。

  あははっ 〕


舘嵜春加

「( チックったら、しょうわるだね )」


妖精チック

〔 褒め言葉だよぉ~~。

  じゃあ、トドメを刺すよ! 〕


舘嵜春加

「 17ー12 」


イケメンな人

「 17ー12だね。

 ( 終わった。

   さや君のけだ……。

   ここ迄ねばったな…… )」


莢棊

「 ──っ!

  ふざけるなっ!!

  こんなの……こんなの……無効だ!! 」


イケメンな人

さや君!? 」


 対局相手は椅子から立ちがると物凄いぎょうそうで私を睨んでいる。

 掴み掛かられて殴られそうな勢いね。

 なんで怒ってるの??


莢棊

「 俺はっ、県大会で優勝した棋力を持ってるんだぞ!!

  院生のなかでもちゅうじょうなんだ!

  天才なんだよ、俺はぁ!

  その天才が、囲碁が初めてのド素人しろうとに指導碁されてけるだと!

  こんな事、あってたまるかよ!! 」


イケメンな人

さや君、落ち着いて! 」


舘嵜春加

「 へぇ?

  きみ、院生なんだ?

  ちゅうじょうなの??

  そのていで “ 天才 ” だってイキッテたんだ?

  ふぅん?

  そりゃ、囲碁未経験者でド素人しろうとの私にけても仕方無いよねぇ。

  “ 舐めプ ” って言うの?

  その癖はなおしたほういかもね? 」


莢棊

「 ──くっ!!

  もう一局だ!

  次は俺が勝つ!! 」


舘嵜春加

「( チック、どうするの?

   まだ打ちたいみたいだけど )」


妖精チック

いよ、いよ。

  打ってあげるよぉ~~。

  次は置き石(ハンデ)無しだよ。

  2人のかたきてたからねぇ~~ 〕


舘嵜春加

「( 分かった )

  別にいけど、もう置き石(ハンデ)は無いよ。

  ねぇさんとようさんのかたきてたからね。

  私はの白番でいからね 」


莢棊

「 次こそは、おまえかせてやる!! 」











莢棊

「 …………あ…ありません…… 」


舘嵜春加

「 また私の勝ちだね。

  今ので8勝かな?

  もういんじゃない?

  8回もけたらじゅうぶんでしょ? 」


イケメンな人

「( ほんいんぼうしゅうさく──いや、それ以上だ!!

   8勝とも素晴らしい指導碁だった……。

   さや君を軽くひねっている──。

   遊びごころふくんだ指導碁だ……。

   こんな指導碁は見た事が無い──。

   記録しといてかった!! )」


莢棊

「 ………………なんで……なんで…………全部っ、指導碁なんだよっ!! 」


舘嵜春加

なんでって──、“ 弱いから ” でしょ。

  もう自覚したら?

  ちゅうじょうで満足しきって舐めプするていの奴なんかにける訳ないじゃないの。

  院生の頂点に立てたら、指導碁から卒業も出来るんじゃないのぉ?

  私に構ってないで、院生の頂点でもしたら? 」


莢棊

「 …………ちくしょうっ!!

  棋力をげて、おまえかしにるから首を洗って待ってろ!! 」


 対局相手は椅子から立ちがると両目に涙を溜めて去って行った。

 泣くほどくやしかったの??

 まぁ、初心者に8回もけたら泣いちゃうかも?


舘嵜春加

「( チック、がとう。

   ねぇさんのめい(?)をへんじょう出来たよ )」


妖精チック

〔 こんなの御安い御用さ★ 〕


舘嵜春加

ねぇさん、ようさん──、対局相手は泣きながら去ってったよ。

  これで満足してくれた? 」


廼衙靉子

はる…………アンタ、ほんとうに私のはるなの? 」


舘嵜春加

「 はぁ?

  いやがるいもうとに拒否権無しの強制囲碁勝負をさせといて、言う事がそれ?

  あねの代わりにいや(いや)頑張ったいもうとねぎらいの言葉も無いの? 」


廼衙靉子

「 だって──、アンタ……自分がなにしたのか分かってんの? 」


舘嵜春加

ねぇさんとようさんの代わりに囲碁勝負して勝ったけど?

  それがなに? 」


廼衙靉子

素人しろうとの勝ちかたじゃないよ!!

  全部、プロ棋士の打ちかただよ!

  ううん……したらプロ棋士より強いかも──。

  アンタ、ほんいんぼうしゅうさくの生まれ変わりじゃないよね?? 」


舘嵜春加

「 …………なに言ってんの?

  そんな訳ないでしょ。

  仮に…そのほんいんぼうしゅうさくだったら、ねぇさんより早く囲碁を始めてるんじゃないの?

  私は初めから囲碁なんて興味無いよ 」


廼衙靉子

むろ先生!

  はるを院生にしてください!

  はるは囲碁を打つ為にまれてた子です!!

  はるは囲碁界にしんぷうを巻き起こしてくれる子です!

  現代のほんいんぼうしゅうさくになる子です!!

  間違いありませんっ!! 」


舘嵜春加

「 はぁ?

  一寸ちょっとねぇさん!?

  なに言ってんの?

  勝手に決めないでよ!

  私、囲碁に人生を捧げるなんてだからね! 」


廼衙靉子

「 駄目よ!

  はる──、プロ棋士になって、囲碁界のトップ──ほんいんぼうから、“ ほんいんぼう ” を勝ち取るのよ!!

  はるなら出来るわ 」


舘嵜春加

「 勝手過ぎるでしょ! 」


廼衙靉子

「 おとうさん,おかあさんには、私から話すから!

  お姉ちゃん、はるの専属マネージャーとして頑張るからね!

  囲碁界にしんぷうを巻き起こして、下剋上するわよ!! 」


舘嵜春加

「 げ…下剋上って…… 」


妖精チック

〔 駄目なスイッチはいっちゃったね~~。

  張り切り過ぎちゃったみたいだね。

  めんごぉ~~はるぁ♥️ 〕


舘嵜春加

「( “ わるい ” って思ってないでしょ~~ )」


妖精チック

〔 テヘペロ♥️ 〕


舘嵜春加

「 《 囲碁サロン 》に寄らないでぐ《 家 》に帰ればかった…… 」


 ねぇさんはイケメンな人から棋譜を記録した用紙のコピーを貰っている。

 まさか、とうさんとかぁさんに見せるつもりなんじゃ──。

 《 囲碁教室 》になんてかよいたくないのにぃ~~~~!!

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