✒ 危険な子 7
──*──*──*── 翌日
──*──*──*── 放課後
舘嵜春加
「( とうとう放課後が来ちゃったわね……。
はぁ……これから《 囲碁サロン 》へ行かないといけないなんて、憂鬱過ぎるわ…… )」
妖精チック
〔 そんなに嫌ならボイコットしちゃうかい? 〕
舘嵜春加
「( ボイコットねぇ。
そりゃ、魅力的な御誘いだわ。
でも、すっぽかしたりしたら後が面倒な事になりそう…… )」
妖精チック
〔 あははぁ~~。
だよねぇ~~。
ボクもそんな気がしちゃうよ 〕
舘嵜春加
「( 気は重いけど、覚悟して行かないとね……。
チック、本当に大丈夫なの?
恥を掻かされた(?)姉さんの評価を挽回させるなんて事、出来るの? )」
妖精チック
〔 春加、ボクを信じてほしいな。
今日の一戦を勝利する為に、神聖力をうんと高めたから大丈夫だよぉ~~♥️ 〕
舘嵜春加
「( 一体幾つ心臓を喰べたの? )」
妖精チック
〔 ふっふぅ~~ん。
30個は喰べたかな~~♪ 〕
舘嵜春加
「( 大食いね )」
[ 教室 ]を出ると廊下で新御睛雉と鉢合わせした。
そう言えば隣のクラスだったわね。
新御睛雉
「 舘嵜!
あのさ、今から── 」
舘嵜春加
「 悪いけど、今日は予定が有るの。
新御君の暇に付き合えないの。
バイバイ 」
新御睛雉
「 予定?
それってさ、どんな?
オレも付いて行っても良いか? 」
舘嵜春加
「 新御君も用事が有るんじゃないの?
私の予定に付き合って大丈夫なの? 」
新御睛雉
「 問題無い。
オレの用事は最寄り駅に在る《 囲碁サロン 》へ寄る事なんだ。
別に今日じゃなくても良いし 」
妖精チック
〔 コイツ、《 囲碁サロン 》へ行ったのか?
春加、靉子は中坊に惨敗したんだよね。
コイツも中坊だよ!
靉子を負かして泣かせた中坊ってさ、コイツじゃないのかな? 〕
舘嵜春加
「( そんな事が有るの?
確かに中学生だけど── )」
妖精チック
〔 《 囲碁サロン 》に着く迄距離が有るし、探りを入れてみようよ 〕
舘嵜春加
「( 探りね。
試してみよっか── )
新御君、《 囲碁サロン 》へ行くの?
《 囲碁サロン 》へ行って何するの? 」
新御睛雉
「 見学だけど?
昨日さ、【 セロカ君の本屋 】で舘嵜と別れた後、《 囲碁サロン 》へ立ち寄ってみたんだ。
オレは囲碁部だからさ、興味あってな(////)」
舘嵜春加
「 そう…昨日行ったの。
昨日《 囲碁サロン 》に居たなら、中学生と高校生の対局は見てない? 」
新御睛雉
「 中学生と高校生の対局?
そんなのやってたか?
………………あぁ!
最寄り駅の周辺には《 囲碁サロン 》が3軒も在るんだ!
オレが行った《 囲碁サロン 》じゃないかも知れないな。
オレが寄った《 囲碁サロン 》の店名は【 オアリスの憩い 】だったからさ 」
舘嵜春加
「 【 オアリスの憩い 】ねぇ。
母親と姉が通ってる《 囲碁サロン 》じゃないね。
もしかしたら──って思ったんだけど 」
新御睛雉
「 もしかしたら?
昨日何か有ったのか?
舘嵜も《 囲碁サロン 》に寄ったのか? 」
舘嵜春加
「 私は寄ってない。
帰宅した姉から話を聞いたの。
生意気な中坊に6子の置き石を貰ったけど、ボロ負けしたってね 」
新御睛雉
「 へぇ?
中学生が高校生に置き石6子も与えて勝ったって?
随分と強い中学生だな。
そんな奴が居るなら見てみたいな 」
舘嵜春加
「 今日は《 囲碁サロン 》へ行って、負かされた姉の代わりに私が対局する事になったの。
私と《 囲碁サロン 》に来れば中学生の実力を見れるよ 」
新御睛雉
「 マジかよ!
舘嵜も囲碁を打てるんだな!
楽しみだな 」
舘嵜春加
「 残念だけど、期待はしないでくれる。
私、囲碁は未経験なの 」
新御睛雉
「 は?
囲碁は未経験??
囲碁を打った事は── 」
舘嵜春加
「 今まで1度もないけど。
今日の対局が初めての囲碁デビューね 」
新御睛雉
「 今日が囲碁デビュー?!
《 囲碁サロン 》に通ってる(?)舘嵜の姉さんに置き石6子を与えて勝った相手だよな?
そいつと対局するって事だよな? 」
舘嵜春加
「 そうね。
その通りね 」
新御睛雉
「 囲碁経験の無い初心者が、挑んで勝てる相手じゃないだろ! 」
舘嵜春加
「 私も昨日、それを姉に訴えたけど、却下されたの。
私が生意気な中学生と対局する事は、勝手に “ 決定されてた ” って事。
姉から話を聞いてる時点で、私には拒否権が無かったのよ 」
新御睛雉
「 ………………囲碁未経験者に “ 勝て ” なんて、無茶を言う姉さんだな…… 」
舘嵜春加
「 私もそう思ってる。
相手を負かせて泣かせないと、姉から何を言われるか──。
今から気が重いの 」
新御睛雉
「 そりゃ……そうだろ。
囲碁歴の長いオレですら、6子分のハンデを取り返す様な奴に勝てるかどうか──。
そいつって院生なんじゃないか? 」
舘嵜春加
「 院生?
プロ棋士を目指す研修生の?
でも、院生って《 囲碁教室 》に通うんでしょ?
《 囲碁サロン 》で打つもんなの? 」
新御睛雉
「 相手は唯の気紛れで、フラッと《 囲碁サロン 》に立ち寄ったんじゃないのか?
軽い気持ちでさ 」
舘嵜春加
「 軽い気持ちでね……。
そのとばっちりを私が受ける事になったなら、ついてないわ… 」
新御睛雉
「 《 囲碁サロン 》に着いたら直ぐに対局するのか?
時間が有ればオレが練習相手になっても良いんだが── 」
舘嵜春加
「 付け焼き刃で囲碁を打っても、相手が相手だし、意味ないんじゃないの? 」
新御睛雉
「 それもそうか──。
例え潔く負たとしても、誰も舘嵜を責めたりはしないさ。
舘嵜の姉さん以外はな? 」
舘嵜春加
「 そうかもね。
囲碁漫画しか読んだ事のない未経験者に『 勝て 』なんて、誰が聞いても無茶振りだもの 」
《 中学校 》の[ 正門 ]を出て、最寄り駅に在る《 囲碁サロン 》を目指して歩く。
心無しか足取りが重いわ……。
──*──*──*── 最寄り駅付近
舘嵜春加
「 へぇ、本当に《 囲碁サロン 》が3軒も在るんだ 」
新御睛雉
「 彼処が昨日寄った【 オアリスの憩い 】だ 」
舘嵜春加
「 ふぅん。
姉が通ってる《 囲碁サロン 》は、あっちかな 」
姉さんが待ってる《 囲碁サロン 》か。
正直、入りたくない。
このまま回れ右して帰ったら駄目かな??