⭕ 危険な子 5
──*──*──*── 22時
???
「 ただいまぁ~~。
春加ぁ~~!
お姉ちゃんの仇を討ってぇ~~!! 」
舘嵜春加
「 何事ぉ!? 」
妖精チック
〔 今、良い所なのにぃ!
靉子めぇ~~、声デカいよぉ! 〕
舘嵜春加
「 姉さん、帰宅早々何なの……。
『 仇を討て 』って、物騒── 」
靉子
「 春加にぃ~~~~、ムカつく中坊をケチョンケチョンに負かしてほしいのぉ~~!!
私の代わりにぃ~~。
大好きなっ、お姉ちゃんの仇を討ってくれるわよね!! 」
舘嵜春加
「 元気に生きてるじゃん…… 」
靉子
「 私を負かした生意気な中坊を泣かせてやりたいのよ、キィィィィィ~~~~!! 」
妖精チック
〔 コイツぅ~~!
TVの前に立ちやがったよ、春加ぁ~~!!
見えない~~!! 〕
舘嵜春加
「 姉さん、TVの前から退いて。
今、洋画を見てるの。
邪魔しないでくれるかな 」
靉子
「 春加ぁ!
洋画よりも大好きなっ、お姉ちゃんを優先してぇ!!
どうせ録画してるんでしょ。
お姉ちゃんの話を聞いてよぉ~~~~ 」
舘嵜春加
「 はぁ……。
{ 何でこんな人が全国模試3位かなぁ…… }」
しつこい姉さんは、私の首に腕を回して抱き付くと、ユッサユサと私を強く揺する。
舘嵜春加
「( 余っ程悔しい事でも有ったって事か──。
超絶面倒なんだけどぉ~~~~ )」
妖精チック
〔 マジで自分勝手な奴だよね、春加!
家族じゃなかったら心臓を抉り取ってる所だよ! 〕
舘嵜春加
「( チックの気持ちは痛い程分かるよ…… )
分かったよ、姉さん……。
話くらいなら聞いてあげるから離れて…… 」
靉子
「 ふるるるん♥️
お姉ちゃん想いの優しい春加ちゃん、大好きぃ~~ん♥️ 」
梢憙
「 ………………僕は退散するねぇ 」
囲碁漫画を数冊抱えた梢憙は、そそくさと[ 居間 ]から出て行った。
舘嵜春加
「( 梢憙ぃ~~~~。
自分だけ上手く逃げやがったわねぇ!!
卑怯な子っ!! )」
妖精チック
〔 流石は甥っ子だよ。
血は争えないねぇ~~ 〕
舘嵜春加
「( 感心してないの )
姉さん、一体どうしたの?
今日も《 囲碁サロン 》で打って来たんだよね? 」
靉子
「 うん……。
暘子と一緒に楽しく打ってたよ。
17時頃だったかな~~。
中坊が来たのよね。
初めてさんだったみたいでね、緊張してると思って暘子と一緒に声を掛けて──、暫く一緒に打ってたのよ 」
舘嵜春加
「 ふぅん?
明らかに(?)《 囲碁サロン 》に来たのが、“ 初めてさん ” な中学生に態々声を掛けてあげて、相手をしてあげたんだ?
親切だね 」
靉子
「 春加ぁ~~。
言葉の端々に棘々しさを感じるんだけど…… 」
舘嵜春加
「 気の所為だから続けて 」
靉子
「 う…うん……。
それでね── 」
──*──*──*── 省略
靉子
「 そんな訳でね、対局をする事になったの!
暘子が負けちゃって──、私も頑張ったんだけど負けちゃったの……。
生意気な中坊にボロ負けよ!
暘子も私も6子の置き石有りで打ったのに、何度挑戦しても勝てないの!!
もぅもぅもぅもぅ、悔しくてぇ~~~~!!
地団駄を踏んで帰って来たって訳なのよぉ~~ 」
舘嵜春加
「 ん~~?
暘子さんと姉さんが黒番で先手だったんだよね?
6子ってのは、盤上に黒石を6つ置かしてもらってる状態で、相当の陣地を相手から献上してもらえてる状態から始めた──って事? 」
靉子
「 そうよ! 」
舘嵜春加
「 それって暘子さんと姉さんにとっては有利で有り難い状態だった……って事だよね? 」
靉子
「 そうね。
春加の言う通り、超絶有利なスタートだったわよ★ 」
舘嵜春加
「 ………………相手は私と同じ中学生だって?
何で有利な状態からスタートしたのに中学生に負けちゃったの? 」
靉子
「 分かんないわよぉ~~。
あっと言う間に覆されて負けちゃったんだもん。
高校生相手に勝つんだから、相当に強いって事よ! 」
舘嵜春加
「 6子分のハンデを消しちゃう棋力の中学生ね……。
そんな子も居るんじゃないの?
小学生が低学年でプロ棋士になれちゃう様な業界なんでしょ? 」
靉子
「 そんなの一握りだからね!
低学年でプロ棋士になる子なんて、本物の異才か鬼才よぉ~~!
6子分のハンデを守りながら打ってだけどぉ~~~~。
暘子と私を負かして恥を掻かせた生意気な中坊がムカつくのぉ゛~~~~!!!!
絶対にボロ負かせて、泣かしてやりてぇのよぉ~~~~!!
ムッキィィィィィ~~~~ 」
舘嵜春加
「 姉さんが対局に負けて悔しい気持ちは何と無くだけど分かったけど──、『 仇を討て 』ってさ、姉さんを負かした中学生と私を打たせる気なの? 」
靉子
「 ピンポぉ~~ン!
大当たりぃ♥️
春加は話が早くて助かるわぁん♥️ 」
舘嵜春加
「 正気なの? 」
妖精チック
〔 馬鹿じゃね、コイツぅ~~。
マジで何で全国模試で3位なんだろうねぇ~~ 〕
靉子
「 マジよ!
だってぇ、私には春加しか居ないじゃないのぉ。
春加なら大丈夫だから、お姉ちゃんの為に頑張って★ 」
舘嵜春加
「 姉さん…………頭のネジ、緩んでる?
もし、大事なネジが抜け落ちてる自覚が有るなら、脳外科にでも行って抜けた場所に新しいなネジを入れて来てもらって。
お願いします 」
靉子
「 一寸ぉ~~~~。
幾ら何でも、お姉ちゃんに対して毒舌過ぎない?! 」
舘嵜春加
「 全然だよ。
大好きな姉さんにね、早く “ 正気に戻ってほしい ” って切に願う妹心だよぉ~~ 」
靉子
「 お姉ちゃんはちゃんと正気よ。
心配しないで、優しい春加♥️ 」
舘嵜春加
「 全然正気じゃねぇから!
姉さんと私は違うんだよ!
態々言わないと分かんないの? 」
靉子
「 違わないわよ!
春加は私の可愛い妹なのよ!
自分で自分を卑下しないで!
春加は出来る子だよ。
自信を持って!! 」
妖精チック
〔 ちっとも噛み合ってないねぇ~~。
本当に頭のネジが抜けてるんじゃないかな~~ 〕
舘嵜春加
「 姉さん、今から私が言う事をちゃんと聞いて、判断してほしい。
姉さんは秀才で、馬鹿じゃないんだから、出来るよね? 」
靉子
「 春加……。
分かったわ…………話してみて。
春加の話を聞くわ 」
舘嵜春加
「 有り難う、姉さん 」
妖精チック
〔 納得してくれたら良いんだけどねぇ~~ 〕
舘嵜春加
「( 納得してもらわないと困るんですけど…… )」
私は息を吐いてから、姉さんに重要で重大な話を始めた。
◎ 訂正しました。
早々 ─→ 早々
話くらいなら ─→ 話くらいなら
初めてさんな中学生に ─→ “ 初めてさん ” な中学生に
声を掛けてあげで、─→ 声を掛けてあげて、
負しい気持ちは─→ 負けて悔しい