✒ 転職しちゃう?
──*──*──*── 最寄り駅・周辺
最寄り駅の周辺で勝手に着いて来た新御君と別れた私は、キノコンに案内されて宿泊する《 宿泊施設 》へ向かって歩いた。
新御君にキノコンの護衛が付かないのは、厳蒔プロの弟子じゃないし、成人男性だからみたい。
千晴君の弟子1号──眞宮乃壹禾プロにもキノコンは付いてないみたい。
──*──*──*── 最寄り駅・近辺
──*──*──*── 宿泊施設
妖精チック
〔 わぁ~~!
此処が今夜泊まる《 宿泊施設 》なんだねぇ~~。
立派だねぇ、春加! 〕
舘嵜春加
「( 本当だね。
こんな立派な《 宿泊施設 》にタダで泊まれるなんて嘘みたいだね )」
キノコン
「 どうしたエリ?
中へ入るエリ 」
キノコンに促されて、自動ドアから《 宿泊施設 》の中へ入る。
中は高級ホテル並みのリッチさと清潔感が有る。
どうやら清掃員はキノコンみたい。
真っ直ぐフロントへ向かったキノコンは、私の代わりにフロントでチェックインをしてくれる。
[ 宿泊室 ]のドアを開けるのに必要なのは、カードキーじゃなくて《 セロッタ商会 》で会員登録した時に発行される会員カードみたい。
この《 宿泊施設 》の利用が出来るのは、会員カードを持っている《 セロッタ商会 》の会員様だけみたいね。
会員カードを持ってて良かった。
キノコン
「 今夜の[ 宿泊室 ]は7階エリ。
エレベーターで上がるエリ 」
舘嵜春加
「 チェックインしてくれて、有り難ね 」
キノコン
「 御安い御用エリ 」
──*──*──*── 7階
エレベーターから出て、廊下を歩いて、[ 宿泊室 ]の前に着く。
施錠されているドアの鍵を解錠する為には、会員カードをドアノブの下に付いているタッチ式パネルに会員カードをタッチする必要がある。
私は会員カードをタッチ式パネルへ近付けた。
施錠されていた鍵が解錠されてドアが開く。
[ 宿泊室 ]へ入ったら、ダブルベッドが1つ置かれている部屋だった。
1人で使うには広いかも。
ドアの入り口には、履き物を入れる小さな下駄箱が置かれていて、スリッパに履き替えて歩く仕様みたい。
土足禁止なの部屋なのは嬉しいかも。
靴を脱いで、スリッパに履き替えたら、靴を下駄箱の中に入れる。
舘嵜春加
「 キノコンは入って来ないの? 」
キノコン
「 ボクはドアの前で朝まで見張るエリ。
安心して朝まで休むエリ 」
舘嵜春加
「 キノコンは寝ないの? 」
キノコン
「 基本的に睡眠は必要ないエリ。
おやすみエリ 」
舘嵜春加
「 おやすみ、キノコン 」
キノコンがドアを閉めると、カチャッと音がした。
鍵が施錠されたのかも知れない。
──*──*──*── 宿泊室
妖精チック
〔 良い部屋だねぇ!
7階だってさ!
景色も良いよぉ~~ 〕
はしゃいでいるチックは可愛い。
嬉しそうに窓のカーテンを開けて外を見ている。
チックの姿は私にしか見えないから、傍から見ればカーテンがひとりでに動いて開いた様に見える。
これ完全に心霊現象か怪奇現象に見えちゃうよね。
ポルターガイスト現象って心霊現象だっけ?
もしかしたら、魔術師としても通用するかも知れないよねぇ?
合図を出した後、チックに物を浮かせて動かしてもらえば、十分マジックに見えるんじゃない?
囲碁を打って生活費を稼がなくても、魔術師として生活費を稼ぐ事も出来るよねぇ。
舘嵜春加
「 ねぇ、チック。
チックが物を浮かして動かしたら、魔術師としてやっていけると思う? 」
妖精チック
〔 魔術師?
そうだね。
見えると思うよぉ。
超能力者としてもやって行けるよね。
物を浮かせるだけでも十分凄い事なのに、上下や左右に動かすんだもん。
おひねりでガッポガッポ出来るよぉ~~ 〕
舘嵜春加
「 プロ棋士から魔術師か超能力者に転職しない?
どうせなら苦労しないで楽に生活費を稼ぎたいし 」
妖精チック
〔 どうせやるなら参加型にしようよ 〕
舘嵜春加
「 参加型って? 」
妖精チック
〔 そっ!
観客に両手を伸ばしてもらってさ、手力っての?
送ってもらってさぁ、皆から集めた手力を使って、物体を浮かせたり動かしたりするのさ!
凄いのは魔術師若しくは超能力者の春加じゃなくて、皆の手力だよぉ~~~~って事にすればさ、万人受けすると思うんだよねぇ 〕
舘嵜春加
「 それも良いかも!
それなら、『 インチキ! 』って叩かれる事も少ないかもね?
実際に手力で売れてる有名な魔術師も居るし! 」
妖精チック
〔 試しにさ、スマホで動画を撮って配信してみるぅ?
動画を撮るならキノコンに事情を話してさ、協力してもらおうよ 〕
舘嵜春加
「 そうだね!
明日、キノコンに相談してみよっか!
じゃあ、私は入浴しちゃうね 」
バスタオルとバスローブを持って[ 洗面脱衣室 ]に入る。
[ 浴室 ]と[ トイレ ]が別になってるのって嬉しいよね。
流石良い部屋なだけは有る!
──*──*──*── 入浴後
バスローブを着た私は、ダブルベッドの上に腰を下ろして座る。
現在の時間は21時10分──。
チックは机の上に地図を広げて、赤ペンを動かして❌を書いている。
舘嵜春加
「 チック、それって今回の獲物が潜伏してる場所? 」
妖精チック
〔 そうだよぉ~~。
今回、清掃活動する獲物はぁ~~半グレ集団にしたよぉ 〕
舘嵜春加
「 半グレ集団?
それってヤクザより質の悪い奴等だっけ? 」
妖精チック
〔 そうそう。
ヤクザは未だ “ 仁義 ” とか “ 任侠 ” とか “ カタギには手を出さない ” とかほざくじゃん。
そういうヤクザは生かしといても良いと思うんだぁ~~。
でもさぁ、半グレ集団には “ 仁義 ” も “ 任侠 ” も “ カタギには手を出さない ” も関係無いからね~~。
自分達さえ楽しければ、一般人に危害を加えたり、犠牲にしても “ 一向に構わない ” っていう残念思想の可哀想な奴等だからね~~。
そんな可哀想な半グレ集団を優しいボクが救ってあげるのさ★ 〕
舘嵜春加
「 チックは悪党に慈悲深いね。
後光が輝いて見えるよ。
眩しくて涙が出ちゃう 」
妖精チック
〔 テレるなぁ~~♥️
いっぱい新鮮な心臓をゲットしちゃうよぉ~~ 〕
舘嵜春加
「 キノコンには離れた場所で待機しててもらう? 」
妖精チック
〔 そうだねぇ~~。
春加が “ 超能力 ” を使ってる様に見えちゃうからね。
寧ろ、『 手力を研く為の訓練をしたい 』って言っとく? 〕
舘嵜春加
「 信じてくれるかな? 」
妖精チック
〔 こればっかりは話してみないと分からないよ。
駄目なら別の手を考えよう 〕
舘嵜春加
「 うん。
で──、何処から掃除する? 」
妖精チック
〔 そうだねぇ~~ 〕
チックと地図を見ながら、半グレ集団の溜まり場を巡る順番を決めて行く。
チックは地図を見ながら、巡る順番を決めてる時、るんるん気分で楽しんでいる。
私も相当チック側の思想に染まっちゃってるな。




