✒ 危険な子 13
──*──*──*── 2階・食堂
今日の夕食は《 囲碁教室 》の2階に在る[ 食堂 ]で食べる事になった。
[ 食堂 ]に居るのは、キノコン,睛雉兄ちゃん,僕の妹弟子になったばかりの舘嵜春加プロ,僕こと久賀瀬千晴だ。
料理は[ 食堂 ]の中にある[ 厨房 ]でキノコンが作ってくれる。
舘嵜春加プロは、キノコンが作った料理を食べるは初めてみたいで楽しみにしている。
睛雉兄ちゃんは、舘嵜春加プロと一緒に食事が出来るのが嬉しいみたい。
もしかしなて、女流棋士や院生の女子達からモテモテな睛雉兄ちゃんの好きな女性って、舘嵜春加プロだったりするのかな??
出来上がった料理が運ばれて来る。
出来立てホカホカの家庭料理だ。
美味しそう~~♥️
目でも楽しめて、味でも楽しめる料理に舌鼓を打ちながら食べる。
料理が美味しいと会話も自然と弾む。
3人で色んな話をして盛り上がる。
新御睛雉
「 オレはさ、まな板の鯉みたいに春加にだったら、美味しく頂かれても構わないよ(////)」
舘嵜春加
「 気持ち悪い発言しないでくれる。
後、名前で呼ばないで 」
睛雉兄ちゃんは、懲りずに舘嵜春加プロにアタックしてるけど、肝心の舘嵜春加プロは悉く跳ね返している。
結構な辛辣さなのにめげない睛雉兄ちゃんって凄いなって思う。
マゾヒストな人じゃないよね??
舘嵜春加プロはキノコンの料理に満足してくれたみたい。
新御睛雉
「 春加は今夜、何処の《 宿泊施設 》に泊まるんだ? 」
舘嵜春加
「 何で新御君に教えないといけないの? 」
新御睛雉
「 同級生の誼だろ。
それにオレも《 囲碁教室 》に籍を置いて所属してる門徒の1人だしさ、千晴の弟子だし、春加とは身内みたいなもんだろ 」
舘嵜春加
「 ………………まぁ、そうかもね 」
久賀瀬千晴
「 舘嵜プロは、明日からどうするんですか? 」
舘嵜春加
「 “ 春加 ” で良いよ。
久賀瀬プロは私の兄弟子だらね 」
久賀瀬千晴
「 有り難う御座います(////)
僕の事も “ 千晴 ” って呼んでください。
春加さんの方が年上ですし 」
舘嵜春加
「 そう?
此方こそ、有り難う。
今日から宜しくね、千晴君 」
久賀瀬千晴
「 は…はい!
宜しく御願いします、春加さん(////)」
新御睛雉
「 おっ、そうだ!
千晴の弟子は、オレだけじゃないんだ。
もう1人居るから紹介しないとな 」
舘嵜春加
「 新御君以外にも居るの?
凄いね 」
久賀瀬千晴
「 眞宮乃壹禾って言うんです。
僕の5歳年上で── 」
睛雉兄ちゃんは、いっちいの事を知っているけど、春加さんは知らないだろうから、いっちいの事を話した。
新御睛雉
「 壹禾はオレの兄弟子って訳だ。
今は “ 武者修行 ” とか言って、彼此の《 囲碁教室 》や《 碁会所 》を訪れては院生,アマチュアと打ってるよ 」
舘嵜春加
「 ふぅん?
プロ棋士とは打たないの? 」
新御睛雉
「 いや、打つよ。
壹禾はグイグイ行く奴だし、相手の懐に入るの上手いからな。
オレよりプロと打ってるかもな 」
舘嵜春加
「 ふぅん?
でも当分は会わないかもね。
明日から他県に行く予定だし 」
久賀瀬千晴
「 そうなんですか? 」
舘嵜春加
「 行きたい所が沢山在ってね、巡りたいんだよね。
今迄、出来なくて諦めてた観光も楽しみたいし。
姉さんのスケジュールは詰め込み過ぎだから、自由時間が無かったんだよ。
解放されて助かったよ 」
久賀瀬千晴
「 大変だったんですね……。
キノコンなら仕事の依頼を受ける時は、受けるかどうか相談してくれますよ。
ギチギチにスケジュールを組んだりしないですし、移動時間は休憩に回してくれるんです。
護衛としても心強いし、地理にも詳しいから初めての土地でも迷ったりしないですよ 」
舘嵜春加
「 それは助かるね 」
キノコン
「 今夜から舘嵜プロの護衛兼マネージャーを担当するキノコンエリ。
分からない事は何でも相談するエリ 」
舘嵜春加
「 初めまして、宜しくね 」
キノコン:マネージャー
「 宜しく御願いしますエリ。
誠心誠意、御世話させて頂きますエリ。
《 宿泊施設 》へ行くなら、案内するエリ 」
舘嵜春加
「 有り難う、キノコン。
( キノコンにもチックが見えたら良いのにね )」
妖精チック
〔 そうだねぇ~~。
キノコンが護衛に付いてくれるのは有り難いけど、支障が出兼ねないかも知れないね 〕
舘嵜春加
「( 神聖力を高める為に必要な心臓を集める為に彼此回るもんね。
付いて来られたら、“ 超能力者 ” って勘違いされちゃうかも知れないよね。
キノコンにはチックの事を話しといた方が良いかな? )」
妖精チック
〔 見えないのに話しても信じてもらえないかもよ。
ボクから春加に触れても春加はボクに触れないしぃ~~ 〕
舘嵜春加
「( 妖精の粉をキノコンに振り掛けたら見える様にならないかな? )」
妖精チック
〔 そんな奇蹟が起きるかな~~。
妖精の粉は万能じゃないからね…… 〕
キノコン
「 舘嵜プロを元マネージャー廼衙靉子,両親から守る為の提案が有るエリ 」
舘嵜春加
「 姉さん,両親から私を守る?
どういう事? 」
キノコン
「 今回は榁圖プロが気を利かせて連れて帰ってくれたエリ。
とはいえ、廼衙靉子が大人しく諦めるとは思えないエリ。
舘嵜プロは大事な稼ぎ頭だったエリ。
当分の間は舘嵜プロの通帳に振り込まれた報酬の残高を使い生活は出来るエリ。
通帳の残高を使い切った時が問題エリ 」
舘嵜春加
「 た…確かに…… 」
キノコン
「 そんな訳で、これからの報酬が舘嵜プロの通帳へ振り込まれない様に、《 セロッタ商会 》経由で新しい口座番号を変更しといたエリ。
新しい口座番号の通帳と印鑑エリ。
無くさない様に確り管理するエリ 」
舘嵜春加
「 有り難う。
姉さんが持ってる通帳と印鑑は諦めないといけない? 」
キノコン
「 《 セロッタ商会 》専属の弁護士達が動いてくれるエリ。
通帳と印鑑を取り返してくれる手筈となっているエリ。
ただし残高の期待は出来ないエリ…… 」
舘嵜春加
「 それは仕方無いかな。
泣き寝入りか…… 」
キノコン
「 裁判を起こし、無断で使われた金額を全額回収する事も可能エリ。
考えとくエリ 」
舘嵜春加
「 幾ら稼いでたのか分からないんだよね。
それって調べられるの? 」
キノコン
「 可能エリ。
望むなら調べとくエリ 」
舘嵜春加
「 有り難う 」
キノコン
「 本題エリ。
舘嵜プロ、厳蒔弓弦プロと入籍するエリ 」
舘嵜春加
「 えっ!?
厳蒔弓弦プロと入籍!?
何で!? 」
新御睛雉
「 何でオレじゃないんだよ?! 」
舘嵜春加
「 新御君と入籍は無いから 」
キノコン
「 舘嵜プロを守るには、睛雉じゃパンチが弱いエリ。
絶対的な強みが欠落してるエリ 」
新御睛雉
「 酷い言われ様だ…… 」
キノコン
「 厳蒔弓弦プロなら不足は無いエリ。
囲碁界では絶対的な強者エリ。
《 セロッタ商会 》の創立者の親族に勝てない喧嘩を売る馬鹿は居ないエリ 」
新御睛雉
「 厳蒔プロって《 セロッタ商会 》の創立者の親族なのか?
初めて聞いたんだけど!! 」
久賀瀬千晴
「 僕も初耳かも…… 」
キノコン
「 盾にするには持って来いの人材エリ。
“ 夫婦 ” と言う肩書きと “ 《 セロッタ商会 》の親族 ” と言う肩書きを得る為に必要な書類上での夫婦エリ。
本当に夫婦として過ごす必要は微塵も無いエリ。
舘嵜プロは旧姓のままで今迄通りプロ棋士として活動すれば良いエリ。
婚姻届には舘嵜プロが名前を書くだけにしてあるエリ。
どうするか決めるのは舘嵜プロ自身エリ 」
舘嵜春加
「 私の為に其処迄してくれるの?
有り難い事ばっかりね。
此処迄してくれる厚意を無駄にはしたくないし、受けるわ。
それで私の自由が姉さん達に邪魔されないならね! 」
キノコン
「 交渉成立エリ。
これで舘嵜プロは大丈夫エリ。
後は《 セロッタ商会 》専属の弁護士達に任せるエリ 」
久賀瀬千晴
「 難しい事は分からないけど、これで春加さんが家族に強制連行される心配は無くなるって事かな?
良かったですね 」
舘嵜春加
「 強制連行なんて、ゾッとするんだけど…… 」
妖精チック
〔 良かったね、春加。
ボクだとウッカリ殺っちゃうかもだからねぇ~~ 〕
舘嵜春加
「( 否定出来ないのがねぇ…… )
そろそろ《 宿泊施設 》に行こうかな。
今日は色々と御世話になったわ。
有り難う 」
春加さんは新マネージャーのキノコンと一緒に[ 食堂 ]を出て行く。
睛雉兄ちゃんは「 オレも! 」って言って、慌てて[ 食堂 ]から出て行った。
睛雉兄ちゃん……望みは薄そうだけど、嫌われない程度に頑張って!!
久賀瀬千晴
「 キノコン、良く弓弦先生が賛同してくれたね。
結婚とか全然興味無さそうだったのに 」
キノコン
「 婚姻届の記入欄は全部、ボクが書いたエリ。
筆跡を変えるなんて朝飯前エリ★ 」
久賀瀬千晴
「 えぇぇぇぇぇ!?
じゃあ、弓弦先生は今日の事、“ 何も知らない ” って事なの? 」
キノコン
「 存じてないエリ。
大丈夫エリ。
この婚姻届自体が本物にクリソツな偽造書類エリ。
本当に入籍させる訳ではないエリ。
要は、廼衙靉子と両親を欺ければ良いエリ 」
久賀瀬千晴
「 キノコン…………恐るべし! 」
キノコン
「 弓弦様にはマネージャーのキノコンから伝えてもらうエリ。
この事は他言無用ですエリ 」
久賀瀬千晴
「 そ…そうだね!
春加さんを守る為だもんね。
僕、墓場まで持って行くよ! 」
キノコン
「 千晴は優しいエリ。
悪い害虫が寄って来ない様に確り追い払うエリ★ 」
久賀瀬千晴
「 有り難うキノコン。
でも手加減は、してあげてほしいな…… 」
キノコン
「 相手に依るエリ★ 」
キノコンは後片付けと明日の仕込みをするらしい。
僕は1人で[ 食堂 ]に在るエレベーターを使って、1階の[ 教室 ]に下りる。
エレベーターから出たら、[ 資料室 ]のスライド式ドアを開けて中に入った。




