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姿なき狩人  作者: 二条路恭平
プロローグ
3/36

ディア・ハンティング

プレシジョンライフルの試射とスコープのゼロインを行ってから3日後、カワサキはライフル銃を使ってハンティングをしてみることにした。

ライフル銃の試射とスコープのゼロイン作業を終えて、アジトであるログハウスに戻ってからCIAから寄越されているタブレット端末で、狩猟対象にできる野生動物の分布状況や禁猟期間や禁猟エリア等を調べてみる。

彼としては、日本の禁猟期間や禁猟エリアを気にはしていないがCIAから渡されている日本の各種ライセンス等は全て偽造なので、極力目立つ行動は控えるようにと釘を刺されている。確かに、日本国内の状況を理解しないままに行動して無用なトラブルを引き起こしてもCIAが助けてくれるとは思えないし、現実的にはCIAから見放されて不法入国者として日本の司法機関に拘束されるのは火を見るより明らかである。仮に、真実を喋ったとしても証拠は何もないから、それで救われることは何もない。

ネットで調べてみると日本国内での狩猟期間は、毎年10月15日から翌年の4月15日とされているようであり、狩猟の対象となる野生動物は20種となっている。その中で、彼が狙いたいと思うのは、イノシシ、ニホンジカ、ヒグマ、ツキノワグマとなる。また、彼の居るアジト周辺は禁猟エリアから外れているのみならず、イノシシ、ニホンジカ、ヒグマが生息しているのが確認できた。特に、近年は山里等の田舎で高齢化が進み、狩猟人口そのものが減少していることで動物の生息数が増えているようでもある。その影響なのか、狩猟区域外の捕獲頭数に制限はあるものの狩猟区域であれば捕獲制限が解除されているようであった。

彼の本音としては、狙っている獲物を求めて遠方まで出猟したいところだが、CIAが間違いなく了承することはないだろう。作戦の実行命令を出したときに直ぐに動けず不要なタイムラグが生じることは望ましくないし、そのために常時携帯することを求められているスマートフォンで居場所がチェックされているのだから安易に遠出するわけにはいかない。

ネットで下調べをした翌日、気持ちが良いくらいに晴れ渡っていたこともあり、すっかり彼の愛車となったパジェロミニを運転して目星を付けていた猟場へ向かった。当然ではあるが車で極力近くに行ってから徒歩で獲物を探すのである。

目指した場所の近くで車を脇道へ向け、雑草が繁って車が発見され難い場所にパジェロミニを止めた。車から降りると最後部のラゲッジドアを開けてライフル銃が収納されているソフトケースを右肩に担ぎ、大きめのウエストポーチをジーンズの上から腰に巻き付ける。更に、日本の猟友会が会員に支給している物と見た目が似ている帽子とベストを着用した。これで、獲物を求めて山中を歩き回っても遠目からは猟友会の人間が狩猟をしているように見えるであろう。CIAから日本の狩猟免許も渡されているとは言え、当然ではあるが偽造された物なので、どんなに出来が良いといっても余程のことがない限りは他人に見せたくはない。

狩猟の準備が整うと、目の前の雑草が繁っている方へ歩いて行く。暫く雑草の中を歩いていると、目の前に獣道と思われる狭く開けたところに出た。獣道と思われる辺りへ歩を進めると彼の視線は、ニホンジカの糞や足跡等のフィールドサインを探しながら歩き続けた。所々で比較的古いフィールドサインは目にするのだが、新しいフィールドサインはなかなか見つからない。

諦めることなく更に山の奥へ向かって歩いていると、鹿が交尾期に発する牡鹿特有の鳴き声を耳にすることができた。どうやら、目の前の尾根を越えた辺りに盛りのついた牡鹿が居るようである。カワサキは、粘土質で滑りやすい傾斜地を滑落せぬように注意しながら尾根を越えてみた。周囲に視線を走らせていると谷側に角がある一頭の牡鹿を見つけた。カワサキがいるところから直線距離にして300メートル以上はありそうだが、ここから見ても結構立派な角であることが分かるし、体重が優に60キログラムを越えていそうである。

彼が持っているプレシジョンライフルであれば、300メートルぐらいの距離は充分にカバーできるのだが、鹿を猟銃でハンティングする場合は、脊椎と肩甲骨が重なる辺りをヒットさせないと走って逃げられ回収不能となることが考えられる。

脊椎は脳からの神経が通っているので、そこを破壊してしまえば脳からの命令が身体中に伝達されないので走られることはないし、肩甲骨は前脚を動かすために重要な場所なので、どちらかに命中させれば良いのだが、現時点で彼が居る場所からは牡鹿の臀部が向けられており、更に樹木の枝が所々で張り出しているので弾丸の軌道が変わり狙ったところから外れる可能性がある。また、見つけた牡鹿の体つきからして急所を外せば間違いなく逃げられてしまうだろう。

チャレンジしたい気持ちを抑えながら、彼はベストのポケットに入れてあった小型双眼鏡を取り出して牡鹿とは逆の山側の傾斜地を慎重に観察してみた。

先程聞こえた鳴き声は間違いなく交尾期の牡鹿が発したものであるから、もしも見つけた牡鹿が鳴いたのであれば、近くに牝鹿の群れがいる可能性が高い。

今回の狩猟は、見た目が立派な角を持つ牡鹿を仕留めて剥製を作りたい訳ではないので、発見した牡鹿に固守して不用意にストーキングをして、牝鹿の群れに気付かれ警戒されて鳴かれでもしたら両方とも一斉に走って逃げられてしまう。

牡鹿の居る谷側からゆっくりと上方へ傾斜地を双眼鏡で眺めていくと、彼の場所から30度ぐらい見上げた場所に数頭の牝鹿が居るのを発見した。谷側の牡鹿に関心があるのか全頭ともそちらへ視線を向けており、全く彼の方には注意を払っていないようである。

牝鹿の群れまでは、220~230メートルぐらいと思われるので、100メートルぐらいまで距離を詰めることができれば、ゼロインをしたスコープを弄ることなく狙うことができる。

早速にも牝鹿の群れに対してアプローチをしたいところだが、例の中東でのトラップ爆弾の誤爆による負傷で1ヶ月以上の入院生活を送った後に、軍を除隊した後も運動らしい運動をしていなかったためか彼の身体は思っている以上に鈍っていたようで、単独猟ということで携行する荷物を必要最小限に抑えていたが、流石に重量4キログラムを越えるプレシジョンライフルを担いで綺麗に整備された山道とは違い、起伏の激しい獣道を歩き回ると多少なりとも息が上がっていたのを自覚する。先ずは乱れた息遣いを整えて、牝鹿の群れへの注意を怠らずにライフル銃で必中できる距離までのストーキングルートを模索し始める。


ライフル銃に限らず、銃から発射された弾丸は真っ直ぐに飛翔することはなく、程度の差こそあれ銃口から飛び出した段階で暫くは緩やかな上昇カーブを描き、ある程度まで上昇した後は引力の法則に従って徐々に落下していく軌道を描くのである。そこで、銃口の位置よりも上部にある照準線を横方向から見ると真っ直ぐに伸びる照準に対して弾道は二度交差することになり、最初に交差する距離でスコープのゼロインを行っておけば、風等の影響を無視して単純に考えれば、二度目に交差するポイントへはスコープの調整をすることなく命中弾を送ることができるのである。この前、彼がゼロインをした際の距離は25メートルであったのだが、この場合に二度目の交差をするポイントになる距離は凡そ100メートルぐらいとなる。


幾らか乱れた息遣いも落ち着いたところで、手にしていた双眼鏡をベストのポケットに仕舞った彼は、発見した場所から移動していない牝鹿の群れを見ながら慎重に山頂側へ向けてストーキングを開始した。今日の天気は雲ひとつない快晴であり、時刻も昼に近くなってきているので、谷側の空気は徐々に温められて山頂に向けて上昇気流となって吹いてくるはずである。少しでも牝シカの群れよりも上の位置に居ないと風上側に居ることになって風に乗ったカワサキの臭いで彼の存在が牝鹿の群れにバレてしまう。

野生の草食獣は、視覚や聴覚が敏感になっているが最も優れているのは嗅覚で、敵の存在や接近も臭いで察知するために、肉食獣が草食獣を襲う場合は風下側からアプローチするくらいである。

滑りやすい上り傾斜を物音一つたてることもなく、樹木の陰を利用しながら135メートルばかり登ると牝鹿の群れよりも僅かに上の位置まで移動することができた。後は、70メートルぐらい群れの方へ移動できれば確実に100メートルの距離まで近づいたことになる。しかし、50メートルほど近づいて行った時、不注意にも細い枯れ枝を踏んでしまいポキッという音を立ててしまった。慌てて群れの方へ視線を向けると、一番手前にいる一頭の牝鹿が彼の方へ一瞬視線を向けてきたが、幸いにも樹木の陰で動かぬ彼に注意をはらう素振りを見せることなく、何事もなかったように再び目の前の笹の葉を食べ始めた。

安堵した彼は、急いでいるものの一層慎重に20メートルぐらい近づいた。ここまで近づけば牝鹿の群れまでは100メートルの距離になったと思われるので、右肩に担いでいたソフトケースを静かに降ろし、ソフトケースのジッパーをゆっくりと開けてライフル銃を取り出し、スコープの対物レンズと接眼レンズを保護するためのキャップの蓋を跳ね上げた。

今日は、前回とは違って10発の実弾を詰めた箱型弾倉はライフル銃に装填しておいたので、遊底の右側についているボルトハンドを握るとゆっくり遊底を手前へ引き、箱型弾倉の一番上にある実弾を薬室に込めてから安全装置を掛けるとニーリングと呼ばれる片膝を立てて座るような姿勢となってライフル銃を構えた。

出来れば、一発で手前側にいる牝鹿の脊椎に着弾させて仕留めたいところだが、今の彼が居る場所からは気持ち撃ち下ろすことになる。これまでの射撃経験からして着弾位置は水平射撃をしたときよりも気持ち上方になるので、スコープの狙いは牝鹿の首の上ギリギリに定めた。

ライフル銃の安全装置を外し、左利きであるカワサキは左手の人差し指で引き金を徐々に引き始めた。途中、引き金を引いている指先に抵抗を感じたところで一旦呼吸を整えて更に引き金を引き続けると、それまで指先に感じていた抵抗が一挙に無くなった途端、爆竹を鳴らしたような発砲音と左肩にストレートパンチを受けたような衝撃で背中側へ押される反動を感じた。

ライフル銃を発射した瞬間、一瞬であったがスコープを通して狙った牝鹿の首の上部辺りから赤い霧状の血煙が吹き出したのを捉えた。

周りにいた他の牝鹿には爆竹を鳴らしたくらいの発砲音でも充分だったようで、発砲音が鳴るのと同時に、牝鹿の群ればかりか谷側に居た牡鹿までもが一目散に走って更に奥の方へ走り去って行った。

鹿達が逃げ出している最中、カワサキは遊底を素早く操作して撃ち終えた初弾の薬莢を排出すると、2発目の実弾を薬室に装填して狙撃した牝鹿の方へライフル銃を構えたが、撃たれた牝鹿は横倒しになったままで逃げる様子が見られない。カワサキはライフル銃の安全装置を掛けてからライフル銃とソフトケースを手に持って倒れた牝鹿の方へ急いで近付いた。

撃たれた牝鹿は、脊椎を破壊されたようで咀嚼途中だった笹の葉を吐き戻して絶命寸前の状態になっているようであった。彼は、先程まで牝鹿が食べていた笹の方へソフトケースを置き、その上に安全装置を掛けたライフル銃を載せてからウエストポーチに入れてあったガーバー社製の折り畳み式ナイフを取り出し、刃を起こすと牝鹿の心臓辺りを抉り次いで牝鹿の首の頸動脈辺りにもナイフで切りつけてから、牝鹿の頭部が斜面の下側に向くように動かして放血を促した。

狩猟で獲物を捕った場合は、少しでも早く獲物の血抜きをしてやる必要があり、充分な血抜きがされていないと獲物の肉には臭みが残り、肉自体も固くなって美味しい肉にはならない。

放血している間、血抜きのために使って鹿の血で汚したナイフは、周りに生えてる笹の葉を数枚使って綺麗に拭いてから刃を折り畳んでウエストポーチに仕舞い、改めて放血している牝鹿のところへ行き銃創以外に大きな負傷や化膿している箇所、爛れた箇所に脱毛やダニ等の外部寄生虫が寄生してないかを目視で確認する。獲物が野生動物である以上、肉を食用とする場合には感染症等のリスクが伴うので、例え目視だけであっても充分に行う必要がある。カワサキが見たところでは、今回の牝鹿は交尾期に近いこともあってか丸々と太っていて健康そうで、外部寄生虫等が寄生しているように見えない。

一先ず安心したカワサキは、ライフル銃を置いている方へ戻って箱型弾倉を外してから、遊底を引いて薬室に装填されている実弾を排出し、取り出した実弾は箱型弾倉へ再装填したうえで箱型弾倉をライフル銃に戻す。更にスコープのレンズ保護キャップの蓋を閉めてからソフトケースに仕舞った。

ライフル銃を片付けて、再び獲物の方へ目を向けると血の流出は少なくなってきていたが、獲物の大きさから判断しても体外に出ている血の量が少ない、完全に放血が終わっているとは思えなかったので、ウエストポーチから幾重にも丸めていた細目のロープを取り出し、獲物の脚を纏めて足首の辺りにロープを掛けて、一纏めにしたうえで解けないように固く縛った。

獲物の脚を縛り終わるとソフトケースを右肩に担ぎ、左手で一纏めにした獲物の脚を掴んで谷の方へ降り始めた。途中、何度か足元が滑って転倒しそうになったが、なんとか滑落することなく無事に下にまで降りることができた。降りついた先には川幅2メートル、水深が40センチメートルの比較的穏やかな流れの小川がある。

カワサキは、一旦獲物をその場に置いてから右肩に担いでいたソフトケースを降ろして、ウエストポーチから二本目のロープを取り出し、小川の近くに生えてる丈夫そうな木の幹にロープを三重くらい巻き付けてしっかりと縛り付けた。ロープの残りの長さを確かめながら幹に縛り付けた方とは反対側を獲物の脚を纏めていた箇所にロープを通して、解けることのないようにきつく縛って、獲物を小川のなかに沈めた。小川に獲物を沈めることで、獲物の表面に着いた泥や血を洗い流してやることに加え、獲物の血が水に溶けて更なる放血を促しつつ獲物自体の身体を冷やしてやることにした。

獲物を小川に沈めている間、ソフトケースからライフル銃を取り出し、遊底を操作して実弾を薬室に装填すると周囲を警戒し始めた。

獲物の放血を行ったことで周囲には血の臭いが拡散しているので、血の臭いに惹き付けられて熊や野犬等と遭遇しないとも限らない。折角の獲物を肉食獣に横取りされるだけでなく彼自身も襲われる危険性があるので、肉食獣が近寄ってきた場合にはライフル銃で対抗しなければならない。

獲物を小川に沈めてから30分以上は経過した頃、幸いにも熊や野犬等の肉食獣が近寄ってくることもなかったので、小川から沈めいた獲物を引き上げてから、構えていたライフル銃はロープを縛り付けていた樹木に立て掛けた。

次いで、ベストのポケットに丸めてあった作業用グローブを取り出して両手に嵌め、ウエストポーチから再び折り畳み式ナイフを取り出して刃を起こすと縛ってあった脚の部分のロープを切断し、脚からロープが解けると獲物の腹の中程にナイフの刃を当てた。カワサキの体力であれば、このままの状態でも獲物を車まで運べぬことはないが、4キログラムを越える重量があるライフル銃を担ぎながらでは素早く戻ることが難しいので、この場で獲物の内臓を取り除いて重量を軽くしようと考えた。

獲物の腹の中程から股の付け根に向かって刃を入れていくが、くれぐれも腹膜を破ることがないように慎重に切り進める。特に、腹膜を破って消化器系から内容物が腹腔内に漏れると肉に異臭が着いてしまうので、とにかく慎重に作業を進める。その後は、股から胸に向かって腹の皮を裂いて胸骨の辺りまで皮を切る。

獲物の内臓が見えてきたところで、作業用グローブを一旦手から外してウエストポーチからタコ糸を取り出し、そのタコ糸で獲物の口元に近い食道と気道を縛り、次いで肛門部に近いところの直腸も同様に結索する。こうすることで、獲物の内臓を摘出している最中に内容物が腹腔内に漏れ出る心配がないようにした。

獲物の胸骨を少し広げてから、縛っておいた食道と気道を縛った先にナイフを使って切断し、肛門方向に内臓を引き摺り出していき、結索している直腸も肛門部に近いところを同じく切断して内臓を取り出した。取り出した内臓は目を凝らして見てみたが、内臓には寄生虫や病気の心配はなさそうである。この分であれば心臓や肝臓等も心配なく食べられそうなのだが、今回は全て捨てていくことにした。

取り出した内臓を小川の対岸側へ放り投げると、ライフル銃を立て掛けいた木に巻き付けてあるロープを使って、獲物の脚を一纏めに縛ってから再び小川へ沈めた。

獲物の肉質を保つために小川に漬けて冷やしている間に、ソフトケースのポケットから折り畳んで入れてた防水タープを広げておいてから、小川から獲物を引き上げて身体の表面や腹腔内の水気を切ったところで、広げたタープに獲物を移してからタープの四隅を風呂敷を結ぶようにして持ち運びが楽なようにした。

そこまでの下準備を終えると立て掛けておいたライフル銃から箱型弾倉を取り外し、薬室に装填していた実弾を抜いて弾倉へ再装填して、ライフル銃に弾倉を戻してからソフトケースに仕舞った。

ソフトケースを右肩に担ぎ、左手には獲物を包んだタープを持って最短ルートで車へ戻るよう歩き出した。出猟のときとは違い帰りは、周囲を注意深く観察して歩く必要がなかったので、比較的短時間で車まで戻ってこれたが、時刻は午後2時を過ぎていたので流石に空腹を覚える。車内に置いていたビスケットタイプの栄養補助食品と500ミリリットルのスポーツドリンクで簡単な昼食を終えてから車を運転してログハウスへ戻った。

ログハウスに到着すると早速、獲物の皮剥、肉の分割等の解体作業を始めた。米国に住んでいた頃はハンティングした後に造作なくやっていた解体作業であったが、数年ぶりの作業だったので思いのほか時間がかかり、獲物が部位ごとに切り終えた頃には夜の8時を過ぎていた。

今日の夕食は、日本で初めての狩猟が成功したことを祝うつもりで捕った獲物から背ロース部を300グラムほど切り分けて、肉の表面に塩と胡椒を振り掛けてステーキとした。

捕ったばかりで、肉の熟成をさせていないので美味とまでは言えないが、久しぶりにバーボンと共に食べると忘れかけていた細やかな充実感に包まれていた。

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