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 今日からサービスの開始される、『Rebuild ONLINE』を起動しVRポッドの中からゲームへとアクセスする。


 気が付くと、どこか知らない山肌の草原に仰向けになっていた。身を起こして、周囲を見渡すと巨大な山脈と、濃い青色のコントラストが飛び込んでくる。

 現実で見ようと思うなら、高い金を払わなければ見られない絶景だ。『Rebuild ONLINE』の売りの一つが、このありえない程の現実志向グラフィックと最新の共感覚エンジンによる没入感である。


「ようこそ『Rebuild ONLINE』の世界へ。私は、この世界の管理AI『テラ』。今後、プレイヤーの皆様へと度々お声をかけさせて頂くこともあるでしょう。是非お見知り置きくださいませ」


 柔らかい女性の声に振り返ると、とんでもない美人がこちらへと微笑んでいる。そして、このゲームの開発者だかグラフィックデザイナーとはいい酒を酌み交わすことが出来るだろう。

 実にいい仕事だ。


 返事が無いので、『テラ』様が不思議そうにこちらをみていらっしゃる。その表情までグッド。いや、マグニフィセント。

 いかんいかん。ボケっとしていてはいかん。

 聞く態勢が整うと、それを察した『テラ』様は話を続ける。


「この場所は、プレイヤーの皆様の世界とRebuild ONLINEの狭間の場所。プレイヤーの方々には、ここでキャラクタークリエイトをして頂きます」


 なるほど。このゲームは”VRゲームであることを隠さないタイプ”だな。VRゲームだと、没入感を優先するためにこのようなメッセージはゲーム側のキャラクターに喋らせない事が多い。

 システムメッセージにすることで、より世界をリアルに体験してもらいたいという事なのだろう。


 まあ、俺はVRMMOは、これが初めてだし元々メインでやっていたVRFPSやVR格闘ゲームでは、ゲーム性や対人戦の派手さが優先されていて、導入にこだわりなをんてなかったからなぁ……。

 ああいったゲームもこのような配慮をすれば、あんな殺伐とした感じにはならないんじゃなかろうか。


 おっと。またまた『テラ』様を困らせてしまった。

 思考が右往左往するやつでゴメンね。


 「キャラクタークリエイトの方法をご説明します」


 『テラ』様によると、『Rebuild ONLINE』では、ジョブと性別と種族を選べるとのこと。


 ジョブは物理ジョブである『ファイター』と、魔法ジョブである『メイジ』の二種類から選ぶ。数が少なくね?と思ったが、今後キャラクターを育てていくと、様々な上位のジョブへとクラスアップしていくそうな。


 性別はまあ男で。


 そして、種族は様々ある。よくある『エルフ』『ドワーフ』なんかはきっちり抑えてあるし、『ドラゴニュート』や『天使』や『悪魔』なんてのもある。


 まずは、ジョブから決めよう。これは、魔法ジョブの『メイジ』にする。先々の上位ジョブの話を『テラ』様に質問すると、銃を扱うジョブが『メイジ』の先にあるらしい。

 物理じゃねーの?と疑問に思ったが『テラ』様曰く、ゲームを進めれば疑問も解けるとのこと。


 種族は、『グラスランナー』を選んだ。草原を翔るものって名前の通り、足が早い。そして器用でもある。代わりに力が弱く打たれ弱い。精神力も生命力も高いが、魔力自体は低い。

 魔法ジョブの中でも、銃による火力をだすなら、コレで良いのではないかと思う。『テラ』様にも太鼓判を頂いた。


 後は名前を決めて……。こんな感じか。


 名前:テンプラ・ダイナマイト

 ジョブ:メイジ

 種族:グラスランナー

 【種族特性】

 スキル『小さな体』を取得

 スキル『脆弱』を取得

 【ステータス】

 体力:12

 魔力:5

 器用:12

 敏捷:12+6

 筋力:3

 知力:8

 HP:141

 MP:58

 【スキル】

 『小さな体』:敏捷のステータスを常時+6する。

 『脆弱』:物理ダメージを受ける際に、常に倍のダメージを受ける。レベルアップの際に自動上昇するステータスに、筋力のステータスが選ばれない。


 貧弱!!銃どころか、魔法用の杖すら重量物になりそうな気配がする……。まあいいか。そうなったら、その時考えればいいのさ。


「どうやら、『Rebuild ONLINE』でのアバターは決まったようですね。それでは、アナタを始まりの街『ホープ』へと転送します。どうか、”この世界が元の姿を取り戻せるように”力をお貸しください」




    ❇




 平穏なる世界『レスフル』は、恐ろしい厄災に見舞われた。

 破壊神を名乗る恐ろしい神によって、世界は次々に封じ込められてしまう。

 人々は、守護神『テラ』の加護を受けた街『ホープ』へと逃げた。破壊神であっても、この世界の守護神たる『テラ』が全力で加護を与えたこの街だけはどうしようも出来なかった。


 テラに集った人々は、力を合わせて破壊神を倒した。


 しかし。破壊神は最後の力を振り絞り、恐ろしい魔法を使ってしまう。その名は『     』という魔法。


 『ホープ』を破壊する事は出来なかったが、破壊神は人々の『記憶』を壊そうとした。『記憶』が破壊される寸前に、『テラ』は大いなる力を使い、破壊されかけた『記憶』を結晶にして守ることに成功する。


 しかし、それを人々へ返す前に力尽き……破壊神に封印された世界へと『記憶』は飛び散っていった。


 世界を超え、『レスフル』を訪れる旅人達よ。

 どうか救ってくれ。この世界を。




    ❇




 全年齢向けに、かなりマイルドになっているとはいえ、記憶を奪うとは……なんて非道なことをするんだ。

 結果的には、この世界の破壊に成功したようなものだろう。

 なるほど、そういう物語か。楽しみになってきた。

主人公は、簡単に感動するちょろいやつです。

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