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老人を追放せよ

遂にスッラ軍団が、ローマ奪還に動き出す!!!

スッラは、ローマでの惨劇を聞き激怒した。


スッラは、マリウス率いる反乱軍が占拠したローマでは、自身を支持した政治家や血縁関係のある親戚筋を含む同胞たちが、多い日には数千人単位で虐殺されている事を知り、即座にローマに帰還する事を決意する。


スッラは、あと少しで勝てるはずであったミトリダテース王との戦争を相手の要求を幾らか飲む形で、ミトリダテース王との間で和平を取り付ける事に成功した。


交渉内容は、黒海周辺の地域を一部ミトリダテース王の領域として割譲し、初期の段階で占領された地域を彼らの王国に組み込むことを認めるというものであった。


この和平内容は、勝者であるローマ側の植民市(領土)が戦争勃発以前より減少するという、一見ローマに不利なようにも見えるものであった。


しかし、当然ながらスッラが意味もなく不利な条約を締結するはずがない。


和平を無事取り付けた事で、安堵の表情を見せて王国への帰路につくミトリダテース側の使者を見送るスッラは、部下に一言言った。


「来年には、黒海周辺はローマとなる」


連戦連勝を重ねたスッラ軍団が即座に反転した真の理由は、背後からの脅威にあり、スッラはマリウスの策略を見抜いていたのだ。


ローマを占拠したマリウスは、ローマでの内乱をミトリダテース王に特使を送ることで伝え、スッラの軍団をミトリダテース王の戦線にくぎ付けにさせ、その背後からマリウスの遠征軍がスッラの軍団を奇襲しようとしていた。


スッラはミトリダテース王との間に条約が締結されると即座に反転し、ローマへ帰還する道中、マリウスからミトリダテース王へ送られた特使を捉えることに成功した。


スッラは部下に命じ、特使を12時間にわたる拷問の末に、磔にして殺害している。


マリウス陣営の予想より遥かに早く反転してきたスッラ軍団の攻勢は、戦闘の準備が一切整っていなかった精鋭揃いのギリシア駐屯軍とローマ海軍に一切の抵抗を行わせる余地を与えず、その全てを無血降伏させたのだ。


「マリウスより、スッラの方が一枚上手である」


現地指揮官たちの意見は満場一致で、スッラ側に寝返ることとなった。


降伏した現地部隊は三万人であり、それら全てがスッラ軍団に加わったことにより、スッラ配下の総兵力はゆうに五万人を超えた。


この大軍団をローマに輸送する船数は、従来のローマ海軍の200隻程度ではまったく足らず、植民市から徴収した輸送船110隻、小型の民間船約190隻、突貫工事で建造された50隻を含む、550隻以上の大艦隊がアテネ周辺に集められた。


スッラは、ローマ進軍を開始する際、湾に面した小高い丘の上から兵たちに向かって叫んだ。


老人マリウスを追放せよ。ついに我々の時代が訪れたのだ」


スッラによるマリウス討伐が、ここに宣言された。

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