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我々はあの男を殺さなければならない

スッラの軍団が再び黒海沿岸からローマに向けて進撃を開始した。


その頃、ローマでは変わり果てた姿のマリウスが自身の軍団を率いてローマ市内の至る所で、親スッラ派や貴族階級の閥族派議員の処刑を開始していた。


処刑は朝から晩まで続いた。


マリウスは気に入った女子供を自身のまわりに集めると、彼女らを率いて広場の前に行き、広場に集めた政敵たちの四肢を部下たちに捥がせ、芋虫のようになった彼らのまわりに油をまき、火を放たせた。


火を放たれた人々は、手足がないため逃げる事も叶わず、火から逃れようと必死に地面を這いずり回ろうとするも、炎で筋肉が焼かれ、最後は海老のように仰け反りながら焼死していった。


マリウスは酒を飲んでいないにも関わらず、燃える人々の姿を見て「芋虫の踊り焼きだ」と手を叩いて笑っていた。


マリウスの容体は誰の目から見ても完全な末期状態であり、精神も病に蝕まれ、残虐非道な行為を喜んで容認するマリウスの姿は、ローマにマリウスを召還した張本人であるキンナですら嫌悪感を抱き、その感情をを隠しきれないようだった。


マリウスは、ローマへの道中で焼き払った村々で略奪した金銀財宝を兵士たちに命じて、広場の中央に集めるよう指示するとそこに集まってきた部下や市民に向けてこう言った。


「スッラとその関係者らの首を取った者には、この財宝を分配してやる」


マリウスのこの一言は、ローマを含むイタリア半島全域に大混乱をもたらした。


これはひとつの家(政治家の家系)で起きた例だが、父親が閥族派の議員であり、母親と子供は民衆派支持であった。


夫婦関係は良好であったが、閥族派の議員を父に持つ16歳の子供が世間の目が気にし、またマリウスのかけた賞金に目が眩んだことも重なり、父親を殺害する事件が起きた。


同様のケースやその逆のケースも各地で頻発するようになり、家庭内での親殺し、子殺しが後をたたなくなった。


これは完全に後付けになるが、スッラがローマに帰還するまでの数ヵ月の間に、避難民も合わせるとローマの人口は半分近くに減っていた。


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