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その後に

会場を後にする明日香達。


明日香は、やっと解放されて、大きく背伸びをした。


「帰ろうか!日本へ」


全員が頷く。


明日香は、軽やかに歩き出す。


「また…この国には来ることになる」


啓介は呟いた。


「お前らはな」


阿部達は、明日香と啓介を追い抜く。


「え?おじさん達は…」


「馬鹿。俺達は歳だ。何度も、こんな国に来れるか」


「それに…日本には、本当のメンバーが待ってるんだろ」


「これが限界」


3人は、歩き続ける。


啓介は立ち止まり、3人の背に頭を下げた。


明日香が、そんな啓介に近づき、腕を絡めた。


「おい!」


戸惑いながら、2人は歩きだす。


「ねえ、啓介…あたしもしばらくは、ライブできなくなる」


明日香の言葉に、啓介は驚く。


「どうして?」


明日香は、啓介から離れた。


「まさか…音楽をやめる…」


「やめないわよ」


「じゃ、どうして…」


「わからない?」


啓介は焦った。


「ま、まさか」


啓介は、明日香に近づき、


両肩を抱き締めた。


明日香は、嬉しそうな顔をする。


「やっぱり、どこか悪いのか!」


明日香は、啓介を振り解くと、


「やっぱり…男の人には実感ないのかな…」




「明日香ちゃん。こいつは、だめだ」


「音楽バカだからな」


「サックスバカ…」


前で、2人の会話をきいていた3人は、肩をすくめた。


「男前で、もてるんだが…」


「俺があいつだったら、モテまくる自信があるぜ」


「サックスバカ」


3人の言葉に、イライラする啓介。


「鈍感」


明日香が、そっぽを向く。



「心配するな!俺達が育ててやるよ」


「昔ガキ1人、面倒みたしな。鈍感だが」


「鈍感サックスバカ」


やっと…啓介にも理解できた。


「えええー!!」


啓介は、慌てて明日香を抱き締めた。


「本当か!明日香」


明日香は、こくっと頷く。


「もう3ヶ月だって」


啓介は強く、抱き締めた。


「け、結婚しょう!」


「うん」


2人は、満面の笑顔になった。



3人は、その様子を見ながら、


「いつのまに…」


「まあ…野暮なことは考えるな」


「幸せが一番」


3人は、嬉しそうな明日香と啓介を見守っていた。


「あの2人なら、大丈夫だな。姉さん」






日本へ帰る日。


空港には、たくさんの人々が集まった。


「ここに、ずっといたらどうだ?明日香」


サミーが、寂しそうに明日香に言った。


明日香は、首を横に振り、


「待ってる人がいるから」


「大切な人なのか?」


明日香は頷く。


「とっても大切な人」


「そうか…」


サミーは、明日香をぎゅっと抱き締めた。


「いつでも、戻っておいで…もうお前は、俺達の家族だ」


「ありがとう」


涙を流しながら、明日香は深く頷いた。




アメリカ…。


この国も、大切な場所になった。


(また、いつか歌いにくるからね)



明日香達は、日本へと帰って行った。






なつかしい風景。


黄昏に包まれた店が見えた。


明日香は、走りだした。


ダブルケイ。


あたしが、歌手として生まれた場所…。


大切な故郷。


まだクローズの扉を開けた。


「ただいま!」


カウンターの向こうに、いつもの…あの頃の恵子がいた。


笑顔で明日香を迎える。


「ママ、ごめんなさい」


明日香が駆け寄る。


恵子は笑顔で、首を横に振った。






「明日香!」


奥から、里美の声がした。


明日香が、里美の声に気をとられた一瞬、


明日香の前にいた恵子は、消えていた。



「帰ってきたんだ!明日香」


里美が駆け寄り、明日香に抱きつく。


「里美…さとみ!」


明日香も、里美を抱き締めた。





(ママ…ただいま)




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