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新たな光

ついにこの日が来た。


グラミー賞のノミネート作品の発表だ。


LikeLoveYouは何と、


ジャズ部門と、ベストパフォーマー部門にノミネートされた。


YASASHISAも、最優秀曲としてノミネートされていたが、


これは、和美が作曲者となっていることが大きかった。


YASASHISAは、確実だといわれていた。


去年の不幸を、拭い去る為にも。


それは…実力でないと、いわれるかもしれないが、


明日香達は、気にしなかった。


ただ発表の、その日まで、


観客の前で、演奏するだけだった。


観客の反応こそが、すべてだった。


余程、危険でないかぎり、会場は選ばなかった。


確かに、差別はあったが、ライブを重ねるごとに、演奏を認める者も現れた。


あいつらは凄いと。


よければ認め、悪ければ認められない。


和美とのちがいは、ストリートに認められたかだ。


和美は、知識層や金持ちに好かれた。


LikeLoveYouは、あくまで地域に密着し、


仲間みたいになっていった。


和美も、ヨーロッパでは、そうしていた。


アメリカではそうする前に、有名になったから…できなかったのだろう。



明日香は、賞なんかどうでもよかった。


観客がいてくれることが、嬉しかった。



アメリカ中を飛び回り、ライブにライブを重ね、


明日香達は、レコード会社のバックアップよりも、観客の反響により話題となり、ノミネートされたのだ。


そのことが、明日香は一番の自信となった。



だけど…いいことばかりじゃない。


疲れがたまったのか…明日香は、ここしばらく、体調がおかしかった。


早めに、病院にいくことにした。


異国の地だ。体調管理は、一番大切だ。


この辺りは、よくわからないので、サミーの奥さんといっしょにいくことにした。





涙は、手紙を読んだ日に流し終えた。


朝まで泣いた。


もう泣きたくても、涙がでないくらいに。


体がだるい。


疲れたのだろう。


今、倒れるわけにはいかない。



明日香は、病院に向かった。




診察後、病院から出ると、啓介から、携帯に電話があった。


「大丈夫か!」


啓介の心配そうな声。


恵子のことがあったから、過剰に心配している。


「大丈夫よ。まだ、検査結果はでないけど」


「いつ出るんだ?」


「来週よ」


「来週って…」


そう来週は、グラミー賞発表だ。


「大丈夫よ。絶対でるから」


明日香は、電話を切ると、ガッツポーズを取った。


元気を、振り絞らなければ。


来週。


長かった…この国の生活も終わる。


日本へ帰るのだ。


恵子のもとへ。




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