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デートの意味

日曜日になった。


高橋とその友達が、サッカーシューズをほしいというから、


最初は、スポーツショップに入った。


明日香達の住む街の、一番の中心地。


駅前のショピングセンターに来ていた。


200以上の店舗が、集まっていた。


明日香は、あまりスポーツショップには来ないので、


三人が選んでる間、暇だった。


里美は、高橋の隣にいた。


あまり、明日香と話そうとしない。


さっき…案内図を見た時、上に楽器店と、CDショップを発見していた。


いってみたい。


だけど、1人で行くわけにはいかないから、


適当に売り場を、ぶらつくことにした。


里美は、高橋の隣で、いっしょに選んでいる。


(仲良いのね)


明日香が少し、ほっとした時、


「これ、どうかな?こ、香月さん。俺に、似合うかな?」


三島という男が、視界の端から現れ、明日香に寄り添ってくる。


明日香は退きながらも、頷き、


愛想笑いを浮かべ、


「とっても…」


三島から、少し離れた。


にやにや異常に笑う三島の相手も、疲れる。


シューズが決まり、やっと終った。


「おまたせ」


高橋が、明日香に向かって言った。


「上に、楽器店あるから…いこうか」


高橋の言葉に、驚く明日香。



四人は、エスカレーターに乗った。


高橋が先頭で、


里美が、一番後ろ。


「音楽やってるって、里美からきいたよ」


高橋は振り返り、


真後ろにいる明日香に、微笑んだ。


「でも…今日は別に、見たいものがないから…いいですよ」


断る明日香を見て、


高橋は、進路を変えた。


「じゃあ。CDを見よう」


CDショップに、入る高橋。


その後を、


エスカレーターから下りると、慌てて、里美が追いかけた。



そんな里美の後ろ姿を、見つめる明日香。


三島も、CDショップに入った。


明日香は店の前で、ため息をつくと、入ることは入ったけど…


3人とは離れ、違うコーナーへ足を進めた。


3人がいくのは、J-POP。


明日香が行きたいのは、ジャズだから…。


他より、狭く小さなコーナーだけど、


明日香には、未知なる宝の山だった。


周りを見回しながら、明日香はゆっくりと歩く。


そして、


一枚のCDを、手に取った。


チェットベイカー。


チェット・ベイカーのシングス。


名前は知っていた。


アンニュイな歌声に、興味があった。


ほしいけど…。


今月は、ピンチだ。


悩んでいると、後ろから声がした。


「これがほしいの?」


高橋だった。


明日香の肩越しに、CDを見ていた。


いつのまに、後ろに…。


明日香は、振り向こうとしたけど、


あまりにも、顔が近すぎて、


慌てて、体ごと離れた。


「いえ、別に…」


身を縮ませて、明日香は反射的に、首を横に振り、


急いで、CDを棚に戻した。


高橋と、あまり話してはいけない。


里美が、気にしている。


これ以上、


親友に、いらぬ心配をかけては、いけない。


明日香は高橋に、頭を下げると、


ジャズコーナーから走って、離れた。




そんな明日香の後ろ姿を、見つめる高橋。


棚から一枚のCDを、抜き取った。


「高橋君!」


高橋を探していたらしく、里美は駆け寄ってくる。


「いきなり、いなくなるから…」


高橋のそばで、足を止めた里美は、


高橋の手の中にあるCDに、気づいた。


「高橋君も…ジャズなんて聴くんだ…」


「ああ…」


高橋は、手に持ったCDを、じっと見つめた。


そんな高橋の横顔を、


里美もただ、じっと見つめるしか…できなかった。







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