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9 アイテム奪取大作戦

 傭兵を2体出して分かったこと。


 ゴレアムは半端なく素早いし、強い。

 堅そうな装甲を見るに俺の兵士じゃ攻撃は通らない。



 ゴレアムを倒すのは不可能だ。


 まあ積極的に攻めてきてるようでもなさそうだし、倒す必要はない。

 無駄に仕掛けて殺されるのなんてごめんだ!




 ただアイテムだけはいただく!



 ゴレアムにははっきりとした弱点がある!




ポポポポポポポンッ!


 

 盗賊を出せるだけ出撃だ!


CP:1/15


 コスト2の盗賊を一気に7体、これが俺が今出せる限界の量。


「「「「フフフフンッ!」」」」


 キザな声が重なって聞こえるせいでちょっとマヌケだ……


 

 

 頼むぞ盗賊達!


 俺の祈りを受けて、盗賊達は素早くゴレアムの奥にあるだろうアイテムの元へ走っていった。




ピピピピピピ…………



 盗賊の動きを感知してゴレアムのセンサーが反応する。



ヒュイン!



 やっぱり早い。


 傭兵よりも倍は早い盗賊の足も関係なく一瞬で盗賊の進行方向に立ち塞がってきた。



ズダァァァァァァン!!!!

 


 瞬く間に盗賊が1体やられてしまった。



 予想通り1体だけな!



 残り6体の盗賊達はゴレアムを避けてアイテムの元へ向かっていく。



ピピピピピピ…………


 すぐにゴレアムのセンサーが動き出した。



 ヒュインと兵士達に向かって高速で移動する。



「ウオー!」


 ゴレアムは傭兵の前に立ち塞がった。


 フフフ……

 これも狙い通り!


CP:0/15


 1残っていたCPで傭兵を出してゴレアムに向かわせた。


 こいつもマザーゴブリンと同じだ、近くにいるモンスターを狙う上にいくら強い攻撃をしてしたとしても単体しか攻撃できないなら倒せなくても立ち止まらせることはできる!



 即座に謎の小瓶に入った液体を飲み干す。



CP:3/15



 よしCPが3回復した。



 ここからは1体ずつ傭兵を出して時間を稼いでいけばアイテム回収も間に合うはず。



カチッ……カチッ……




 ゴレアムの奥の方で盗賊が何やら岩を削ってる。


 多分宝石だ!


 やった、また宝石が手に入るぞ!




パキィ


 岩が削れて宝石を手に持った。


 よしそのまま戻ってこい!




キュイィィィィィィン



 ゴレアムの目が赤く変化した。



ギュン! ボシュゥゥゥ……


 さっきよりも早く傭兵に近付き一瞬で消滅させられた。




 早すぎる……



 守っていた宝を奪われてゴレアムが怒ってるんだ……




 頼む! なんとか俺の所まで戻ってこい!



 いや……待てよ、もしこのままゴレアムが追いかけて来たらどうするんだ?

 盗賊から宝石を貰った瞬間に俺が殺されて終わりなんじゃ……





 とにかくここから避難だ!



 どれだけいいアイテムを手に入れたって死んでしまったら意味がない。


 命より大切なアイテムなんて存在するはずがないんだ!




ズダァァァァァァン!!!!



ズダァァァァァァン!!!!




 ああぁ…………


 多分盗賊がやられてる……



 この音がなくなった時、ゴレアムは俺に向かってくるかもしれないんだ……




 小瓶の液体を飲んでCPを回復させた。



 

CP:9/15


 うわっ……9も回復したってことは残ってる盗賊は3体。


 ずいぶん減ってるな……



 

ポポポポポポンッ



「「「「ウオオオオオオオーーーーーー!!!」」」」

 


 こうなりゃ傭兵全出しだ!



 兵士達がやられている間になんとか逃げ切りたい。







 傭兵達はゴレアムへ向かっていった。




 頼むぞ! なんとか逃げ切らせてくれ……





 背後を振り向くことなく、とにかく走り続けた。




ーすごい名前のスキルだな、こりゃうちのギルドでもトップクラスになれるかもな!ー


ーなんでこんなこんなこともできないんだ!? こんな雑魚モンスターに苦戦する奴なんて聞いたことないぞ!ー


 なんだろう……


 昔のことがぐるぐると頭の中を駆け巡ってる……


 これってもしかして死ぬ前に見える走馬灯ってやつか?


 ゴッティに入ってからこのスキルで、というかこのダンジョンに入るまで傭兵1体だけでずっとギルドでやってきた。


 みんなからバカにされていたんだろうな。

 分かってたけど、気づかないようにしてた……


 ようやく、ちょっとだけ成長できたけどギルドないではまだ下っ端クラスの強さかな……


 俺をこの『墓場』と呼ばれるダンジョンに追いやったラルデイとキースにも到底及ばない強さだろうな。



 邪魔なおっさんがいなくなったってゴッティの奴ら笑って話してるんだろうな……







 もっと…………


 もっと強くなりたい!



 









 

 気付いたらゴレアムのいる小道を抜けて、大きな広い一本道まで戻って来てた。



 ゴレアムはもう追って来てなさそうだ。



 なんとか、逃げ切ることができたみたいだ。



「助かった…………」



 思い切り走ってのどがカラカラだ……



 飲み物は小瓶だけ。

 めちゃくちゃな使い方をしてきたからもう残り一本しかない……



 これを飲んだら万が一の時に使えなくなってしまう……



 よく考えたらこのダンジョン食べるものがない……

 あまり時間かけたら餓死してしまうかも……




トトトトト……



 小道のほうから軽快な足音が聞こえてきた。


 ゴレアムじゃない。この足音、もしかして……




 見えてきたのは盗賊の姿だった。



 生き残ってる奴がいたんだ!


 

 あのゴレアムから逃げ切った奴が俺以外にもいるなんて……



 盗賊は俺に向けて手を差し出した。


 何か持ってる。



「あっ! これって」



 ダンジョンに来て最初に手に入れた七色に輝く宝石。



 おそらくゴレアムが守ってたアイテムだ。



「すごい……お前、これを持ち帰るためにここまで逃げてきてくれたのか?」



 生き残った兵士はたった1体、そいつがこれを持ってきてくれるなんて、感動だ……



「フンッ……」


 役目を果たした盗賊は変わらずの態度で消えていった。




 俺はもう、昔とは違う。


 こんなに役に立つ仲間がいるんだ!


 

ここまでお読みいただきありがとうございます。


ブクマや評価は今後の創作のモチベーションとなります!


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