41 一緒に……
今回で第二階層の話は終了になります
ジジジジ……
第三階層への入口である黒い大きい空間がウネウネと収縮を続けている。
なんだかんだで第二階層のゴールまで来れてしまった。
思えば成長したもんだ……
兵士達は今や俺なんて敵わないほど単体でも力をつけている。
『最強軍団』とは言えなくてもただの雑魚スキルなんて思う奴はもういないだろうな……
兵士の強さが上がるとともに、性格もよりはっきりしてきたように感じる。
傭兵はもうかれこれ数十年の付き合いがあるだけあってわかってたけど、とにかく一直線だ。
ダメだとわかっててもとにかく突っ込んでく向こう見ずな性格。
狩人は基本的には臆病だけど、強い奴がいたり守ってもらえたりすると強気になるちょっとズルい性格。
盾騎士はその役割通りお堅い性格で、やることはやってくれるけど融通は効かない気難しい性格。
で、今回一番世話になった盗賊は偏屈でプライドの高い頑張り屋だ。
どいつもこいつも本当にスキルなのかと思うような癖のある奴らだけど、今はこいつらのことを信頼してる。
このスキルでなきゃ……ここにいるどの兵士が欠けていてもこのダンジョンをクリアすることはできないと感じてる。
ゴクリ……
それでも次の階層に行くって言うのは緊張するもんだ……
第二階層に入った時にはモンスターが急に強くなって驚いたからなぁ……
第三階層ではどうなんだろ……
ガルギルゴレアムがそこら中にいるようなところだったとしたらさすがに一巻の終わりだぞ……
「緊張しますよね……クラムさん……」
「ねぇエルレナちゃん、第三階層ってどんなところなの?」
……なんだか知らないけど、エルレナちゃんとゴレアムさんのコアを入れた魔導兵器が一緒についてくることになったらしい。
「本当に一緒に来るの? 長い事ここにいたんだから準備とかあるんじゃ?」
エルレナちゃんが一緒に来てくれるのは正直大歓迎だけど、こんな勢いできてしまって大丈夫なのか?
いろんな工具が詰め込まれた大きなリュック一つを背負ってエルレナちゃんはついてくるつもりらしい。
「いいんです、セキュリティはちゃんとしてあるんで」
「それってもしかして傭兵を一瞬で焼き尽くしたあの防衛装置のこと?」
「はい! そっかクラムさんは知ってるんですよね、私の装置の事」
……ダンジョンってこうやって意図せず危険が箇所が増えていくもんなのかな……
「ねぇねぇエルレナちゃん、このおじさんと一緒にいくの……?」
どうやら魔導兵器は俺と一緒なのが嫌そうだ……
まさかロボに嫌われるなんて……しかもおじさん……まぁおじさんで間違いないんだけどさ……
「そんな事言わないの。クラムさんは優しくて素敵な人なんだから!」
「えっ?」
エルレナちゃんに庇ってもらえるなんて思わなかった……『ステキ』って……
自分の言葉に照れてしまったのか、エルレナちゃんの頬が赤くなった。
「ち……違うんです、今のはえぇ……っとその……兵士くん達からもすごく信頼されてるって言うか、一生懸命だったところとか、そういうところがステ……ううん、かっこよかったって言うか……」
ほ、褒められてるんだよな……?
女の子にステキなんて言われたの初めてだからこっちが照れちゃうな……
「じゃあいいんだな? 行こう」
気を取り直して出発だ。
「……はい」
魔導兵器はやっぱり俺のことよく思ってないのか、エルレナちゃんの後ろに隠れてる。
三人で同時に異空間への入口に手を触れる。
空間に飲まれて何もない暗い空間に飲み込まれた。
「怖い! エルレナちゃん、助けて!」
「大丈夫だよ、ここを通って第三階層にいくだけだから」
そうか、この魔導兵器にとっては初めてのことだもんな……
って言うかこのまま魔導兵器って呼び続けるのかわいそうだな、名前つけてやらなきゃな。
シュイン……
あっと言う間に空間から吐き出され別の空間にたどり着いた。
「あれ……なんだここ……?」
思わず当たりを見渡した。
「第三階層……なんですよね?」
エルレナちゃんも周囲を観察する。
「ねぇねぇ、今までの場所と全然違うね!」
魔導兵器だけはちょっと驚きのベクトルが違ってるみたいだ……
青空だ……
俺達が立っている場所も草原だし木や奥には森のような場所も見える。
まるで外に出てきてしまったみたいに感じるけど……
ここが第三階層……?
ここまでお読みいただき本当にありがとうございました!
最近忙しくて中々まとまって書けずにいたのですが、なんとか第二階層までを書き切ることができました。
これも読んでいただける皆様あってのことなので本当に感謝しております。
ここまでの話で心に止まるところが少しでもあれば幸いです。
引き続き感想やブクマ、評価はお待ちしてますのでぜひよろしくお願いします!
話をまとめるため第三階層編に入る前にしばし日を開けようと思います。
また再開したときはよろしくお願いいたします!




