37 ワァァァァァァ!!
よし行けこのまま近づいてくれ!
残るはニ体、一体でもいいんだ目標が達成できれば……
ズダァァァン
ズダァァァァァァン!!!
「あああ……」
やっぱりダメだ……ガルギルゴレアムに触れる直前に反応されてやられてしまった……
「あっと言う間に盗賊くんが全員……」
「違う。まだこれからだ!」
今のは様子見。
でも俺は確信した。
盗賊ならいける!
あんなに盗賊が気合を見せてるんだ、俺だって負けてれいられない!
持ってる小瓶の中の液体を一息で飲み干した。
CP:24/24
よし! 全快した。
ポポポポポポポポンッ!!!!!
「行くぞお前ら! 仕切り直しだ!!」
「……」
いつものようにキザな返事はせずにメラメラと燃えるような鋭い眼光で12体の盗賊がガルギルゴレアムを睨みつけた。
これだけじゃないぞ!
パリィィィン
まだ使ったことのない黄色の魔導石。
ぶっつけになってしまったけど、これまで通り悪い効果のあるものじゃないはず。
粉々になった黄色の魔導石が霧状になり盗賊達を包み込む。
ー兵士の持続力が上がりますー
は……? 持続力?
今までの魔導石と比べてわかりにくい効果だな……
まあいい、これは願かけのようなつもりでやっただけ、後は盗賊に託すだけだ!
さっきと同様一斉に盗賊達が攻め込んでいく。
「ウゥゥゥゥゥ!!」
盗賊の魂の叫びが聞こえてくる。
でも最初と同じじゃ簡単に全滅して終わりだぞ。
見せてくれ! お前達のアイテム収集にかける誰よりも強い情熱を!
ボシュゥゥゥゥ……
ガルギルゴレアムの攻撃にまたもあっけなく盗賊達はやられていく。
本来の戦闘能力で比較すれば、盗賊が上回っている部分なんて本当に一つもないんだ。
こうなって当然……
でも違うんだよな。
盗賊は兵士の中でも特殊なんだ。
兵士だけど、戦闘要員じゃない。
ガルギルゴレアムは敵として盗賊を迎え撃っているんだろうけど、これは戦闘じゃない。
ズダァァァァァン!!
巨大な剣が振り落とされ盗賊がまた一体消滅した。
ガシッ
その時、地面に向いた腕を一体の盗賊がよじ登っていった。
ガルギルゴレアムの目がより赤く輝く。
ピピピピピピ…………
警報のような音を鳴らし腕にまとわりつく盗賊を振り落とそうとガルギルゴレアムが暴れ回る。
その隙に他の盗賊達もガルギルゴレアムによじ登っていく。
バァァァァン!
ドシャァァァ……
盗賊を振り払おうと素早く動いたり、壁に激突し暴れ回る。
「クラムさん危険です! 部屋を出ましょう!」
エルレナちゃんが俺の手を引っ張ったが、その手を振り解いた。
「俺はここで見てる……」
盗賊が頑張ってるんだ。
あのキザでカッコつけな盗賊が見た目も気にせず、やられながら必死に敵の腕にしがみついて振りほどかれないように必死に耐えてるんだ……
ここで俺がそれを見捨てて安全なところへいくことなんてできるわけないだろ。
キィィン!
キィィィィィィン!!!!
一体の盗賊がガルギルゴレアムの胸部にたどり着いてナイフで切りつけだした。
ピピピピピピピピピピピピピピ!!
警報音がより大きくなった。
あの場所はガルギルゴレアムにとってかなり重要な場所。
他によじ登ってきた残りの盗賊4体も合流して胸部を切りつけだした。
ダァァァァァァッン!
胸に張り付いた盗賊達を潰すためガルギルゴレアムが胸から壁に激突した。
「ああああ……」
今のはやばい……
あんなの食らったら盗賊なんてひとたまりも……
キン……
キィィィ…………ン
壁に挟まれた中から小さく金属を切りつける音がする。
耐えてる……
今の攻撃をあの盗賊が堪えたんだ……
壁に挟まれながら必死に切りつけている。
「頑張れ……」
エルレナちゃんが泣きながら応援してる。
ガキィッ…………
音が変わった。
もしかして……
ガレギルゴレアムの動きが止まってる……?
そこから一体の盗賊がよじ登ってきた。
「あれは……お爺様の作ったコア!」
「やっぱり!」
ガルギルゴレアムの体の中にはそれが組み込まれてた。
そしておそらくエルレナちゃんがずっと探していたもの。
「ワァァァァァァァァァァ!!!!!」
コアを握り締めた盗賊が大きく叫んだ。
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