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34 いたいけな少女のために

「ガルギルに私以外の村人は全員殺されてしまいました……2号に育てて貰って私は魔導機工士としての知識も身に付けることができたんです」


「そんな……」


 なんて言っていいのか、言葉が見つからない……

 壮絶すぎる人生だ……俺がギルドで虐げられて来たことなんてあまりにも軽く感じるほど辛い過去じゃないか……


 でも待てよ、エルレナちゃんは結局何を探してるんだ……?


「このダンジョンには何が目的で?」


「ここはかつてガルギルが研究所として使っていた場所らしいのです」


「ダンジョンを研究所として?」


「固定の拠点を持たない魔物はダンジョンを私的に利用することはよくあることらしいのです、だからこの第二階層は変に区切られているのです」


「でも、今はここにはいないのか」


 探してるものってのはガルギル本人ではなさそうな感じだよな、物を探してると思うんだけど。


「私が探しているのは……お爺様が生涯をかけて研究していた魔導兵器のコアです」


「コア? なんでそんなものを」


「お爺様の研究室に残されていた資料から大概のことはわかったのですが、コアについてはそれこそ魔導機工士にとって一番重要な機械の脳にあたる部分、門外不出どころか仕様書すら残さずいる者がほとんどです」


「そのコアをガルギルが持ち去ってしまったのか」


「おそらく、仕様書とともに……」


 それがエルレナちゃんがここに来た理由。

 話を聞くたびに暗くなってしまったのも、ようやく理解できた。


「お爺様のコアには私の知らない技術がまだまだ詰まっているはずです、そして私はお爺様が成し遂げたかった研究を引き継いで完成させるのが目的なんです」


「それをずっと今までたったひとりで?」


「はい、こんな話したのはクラムさんが初めてです」


 さっきまでの悲しそうな表情から変わって、普段の優しい笑顔で俺に笑いかけてくれた。

 

 なんて強い子なんだ……

 村人すらいなくなったっていうのに、ずっと研究のためロボットと二人で勉強を続けていき続けて、たった一人でこんな危険なダンジョンにまで潜り込んで……


 胸が熱くなってもうわけがわからなくなってしまった。


 思わずエルレナちゃんの手を握り締めていた。


「こんなこと言っても信用してもらえるかなんてわからないけど、俺はエルレナちゃんの味方だ」


 こんなおっさんにいきなり言われてもって感じだよな……でも気持ちが抑えられなかった。

 俺は、自分のことだけを考えて役にも立たないってわかっていたのにダンジョンに行きたいって言い続けた結果、ギルドを追放された。

 それく比べてこの子はこんなに辛いことがあったのに歪むこともなく、必死で爺さんのために頑張ろうとしてる……


 俺は自分が恥ずかしい……


 少しでもいいからエルレナちゃんに協力してやらなきゃ俺はこのままクズのままで終わってしまう気がする。

 もう下心とかそんなのどうでもいい! ……いや万が一もあるかも知れないからちょっと下心はあるか……


 俺はエルレナちゃんのことを命をかけて協力する!



「フフ……クラムさんって本当に変わった人ですね」


 変わってる? 俺が……?


「わかってました、クラムさんは心が綺麗な人だって、だからこんな話をすることができたんだと思います」


「いや……俺なんて全然そんなこと言ってもらえるような人間じゃ……」


「ううん……まっすぐなクラムさんだから兵士くん達もみんな一生懸命頑張ってくれるんですよ」


 そうなの? 確かに俺の兵士達はバカだけど一生懸命なのは間違いないか。


ここまでお読みいただきありがとうございました。


過去編はやっぱり難しい……


ここからは主人公クラムが頑張っていくはずなのでお付き合いいただけたら幸いです。


今後の話を少しでも気になっていただける様ならブクマや、下の☆をチェックいただけると助かりますのでぜひよろしくお願いいたします!

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