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31 ガルギルゴレアム

 ガルギルゴレアム……


 早口言葉のような名前だな……ゴレアムの上位種だっていうのは聞いたことはあったような気がするけど。


「こいつを倒せば、エルレナちゃんの探してるものがあるかもしれないんだよな?」


 盗賊のアイテムセンサーも反応してるんだからこいつが何かしらアイテムを持っているはずなんだ。


「無理です……」


 エルレナちゃんがたまにでる暗い雰囲気になってしまった……


「どうして? もう残されてる可能性はこいつしかないんじゃ?」


 把握しているシンボルモンスターは全部倒したって言ってたんだ、だとしたら残ってるのは第二階層を守っているこいつだけ……


「ガルギルゴレアムは最強なんです……近寄ったら殺されてしまうだけです……」


 爺さんの作った魔導兵器……

 ゴレアムですらギルドの奴らでさえ倒したと聞いたことはないくらいなんだ。

 その上位種にもなったらもう桁違いなんだろうな。


「そんな強いロボを人が作れるなんて……」


「……」


 ついにエルレナちゃんが口を閉ざしてしまった。

 自分の魔導兵器についてはすごく楽しそうに関わっていくのに、爺さん関連のことになると毎回とたんにこうだ……


 よっぽどのことがあるんだろうけど、探してる目的のものもそこにあるんだからここは越えて行かないとダメだろ!


ポポポポポンッ!


「ヌウッ!」

「ウオォォォォ!!!!!」

「タアァァァ!」


 もうお馴染みの盾騎士、傭兵、狩人の1:5:3編生で仕掛けてみる。


 ウィザードデビルでの事もあるし、俺は扉の出入り口あたりから離れずにやばそうならすぐに離脱できるようにしておこう。


「盾騎士、様子見も兼ねてそのモンスターを抑えてくれ」


「ヌゥ!」


 ノシノシと盾騎士がモンスターに向かっていく。

 ガルギルゴレアムはでかい図体してるけど、素早くはなさそうだからきっと明日の遅い盾騎士でも抑えられるはずだ。



ギュィィィィィン


 ガルギルゴレアムの目が赤く光り盾騎士に体を向けた。

 


ヒュン……


 一瞬だった。


 盾騎士の目の前にガルギルゴレアムが移動してる。

 巨体とは思えないほど素早い動き……



「ヌゥ!」


 思わぬ素早さに盾騎士が慌てて盾を相手に突き出した。


ザァァァン!


 甲高い金属音とともに盾騎士が切り裂かれていた。


ボシュゥゥゥゥ……


 ガルギルゴレアムの持ってる剣で盾ごとやられた……


 早い上にとんでもない攻撃力だ……

 うちの防御の要が出会い頭のたった一撃でやられた……?


 まずいぞこれは。


「クラムさん、部屋を出ましょう!」


 エルレナちゃんがそういう前に体はゴレアムのいる部屋から出ていく方へ向かってた。



ズバァァッ


ダアァァァンッ



 すごい音が聞こえてくる……

 傭兵と狩人がやられてるんだ、あいつら盾騎士がやられて立ってお構いなしに向かっていくだろうからな。





「あの部屋から離れさえすれば襲ってくる事はありません」


 ガルギルゴレアムのいた部屋の扉を閉めて、それでも怖いからもう一つ別の部屋に移動してからエルレナちゃんはようやく息をついた。


「さすがゴレアムの上位種……とんでもない強さだ……」


 あいつを倒さないと第三階層へはいけない……

 無理だ……


 いくら第二階層にきて兵士達のレベルが上がったって言ってもこんな桁違いの相手にはさすがに歯が立ちそうにない……


「あの魔導兵器には勝てないんです……」


 また暗い表情だ……


「さすがエルレナちゃんの爺さんが作った機械だ、これまでのモンスターとはレベルが違う……」


「いえ……お爺様はこんなものを作るような人ではありません」


「ん? でもゴレアムはエルレナちゃんの爺さんの作ったものなんじゃ……?」


 エルレナちゃんが辛そうに下を向いた。

 まずい……よくない質問だったみたいだ……


 でもエルレナちゃんがここにいるのは何かを探しているんだったよな。

 他のことではニコニコしてるエルレナちゃんがゴレアムのことになる時だけいつもこんな風に暗くなってしまうのは絶対におかしい。

 多分、エルレナちゃんがこのダンジョンにいるのはガルギルゴレアムが関係してる。


「教えてくれないか……エルレナちゃんがここにいるのはあのゴレアムが関係しているんだろ?」


 俯いたエルレナちゃんの目が大きく開いた。

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