29 スキルの弱点
「ふぅ……ずいぶん周りましけど、私が知ってる部屋に待機してるモンスターは次で最後です」
「ああ……そうだと助かる……」
もうどれだけモンスターを倒してきたんだろうか……
クリスタルスライムから始まった第二階層のあちこちに居座っているシンボルモンスター討伐を初めてもう何体目だろうか……
・ クリスタルスライム
・ ミノタウロス
・ デビルコンバット
・ デスナイト
・ イングリー
・ モングリー
・ コポ
・ 大電竜
などなど……
ということで、エルレナちゃんも時には戦闘に参加して次々にモンスターを倒してそのたびにドロップアイテムを手に入れてきた。
俺も詳しいことは知らなかったけど、どうやらここのシンボルモンスター達は倒すことで確実にアイテムを手に入れられるらしい。
おかげで第一階層の時にも引けを取らないくらいアイテムが集まってきた。
ここまでに入手したアイテムは
・ 超魔導石 ✖️ 1
・ 魔導石(赤) ✖️ 3
・ 魔導石(青) ✖️ 2
・ 魔導石(黄) ✖️ 2
・ 小瓶に入った謎の液体 ✖️ 2
とまあこんな感じだ。
黄色の魔導石以外は第一階層でも見たものだけど、小瓶の数はずいぶん少なかったな。
この液体がなんなのかはエルレナちゃんも知らなかったから俺の中では未だにCPの回復する便利な薬って認識のまま代わりない。
ギィィィィィィ
そうこうしてる内にエルレナちゃんが扉を開いた。
「俺にやらせてくれ」
あっさりとエルレナちゃんは最後のモンスターをゆずってくれた。
この子がやるとみんな一発で終了でなんか居場所がなくなっちゃう気がしちゃうんだよな……
さてと、最後の相手はどんな奴なのかな……
不思議なもんで初めは第二階層の通常モンスターだったハイオークにすらビビってたのに、今やシンボルモンスターにだって立ち向かえるようになってしまっている。
ここをサッときり抜けてゴールのある第三階層へ向かおうかな。
あれ……そうするとエルレナちゃんとはお別れなったりしちゃうのか……?
「キキキ……」
黒い小さい猿みたいなモンスターだ。
すばしっこそうだけど、今までこの階層で戦ってきたモンスター達から比べるとそんな強くみえない。
ポポポポンッ!
盾騎士1傭兵5狩人3の様子見構成で大丈夫だろう。
どんな相手にもまずはこれが鉄板だ!
「このモンスターは『ウィザードデビル』っていう魔導師系のモンスターです、強くはないと思いますけど……ずる賢い所のあるモンスターなんで気をつけてください」
「魔導師か……」
物理系に比べると盾騎士との相性は悪いんだよな。
でもまあ大丈夫だろ。
「盾騎士、モンスターを抑えてくれ!」
「ヌウ!」
こんな小さいモンスター一匹くらい盾騎士にかかれば簡単に抑えられるってもんだ。
「キキ……」
なんだ? ウィザードデビルがニヤっと笑ったように見えたぞ……
カッ……
突然部屋中が眩しく照らされた。
これは魔法か?
見えない……大丈夫か? この光で盾騎士はやられてしまったんじゃ……
「ヌゥゥ……」
声が聞こえた。よかった盾騎士はまだ無事みたいだ。
この光が治れば傭兵と狩人が攻撃に入ってくれるはず、そうすればこんなモンスター楽勝……
「キキキッ!」
えっ……間近にウィザードデビルの声……
そう気づいた時にはもうこのモンスターは俺の目の前に立っていた。
しまった……今の目眩しは兵士達の視界を奪うためじゃなくて俺に近づくためだったのか……
ポンッ!
「ヌゥゥゥゥゥ!」
意識した訳ではなく熱いものに触れてしまった時、とっさに耳たぶに触れるのと同じような条件反射で防御本能として盾騎士を出していた。
「キーーッ!」
俺のとっさの防御行動にウィザードデビルは怒ってるようだ。
今の目眩しで俺を詰ませたと思ったんだろうな。
「ウオォォォォー!!!」
「タアァァァァァ!!!」
予定外の盾騎士の守りに怯んだウィザードデビルに向け傭兵と狩人が切り込んでいく。
ズババババッ!
ドドドドドッ!
攻め込んでさえ仕舞えばこっちの勝ちパターンだ、手負いになったウィザードデビルは盾騎士に抑えられなすすべなく俺の兵士達にやられていった。
「さすがクラムさん! 圧勝ですね!」
エルレナちゃんがモンスターに勝った俺を称えてくれたけど……ちょっと複雑な気分だ……
ウィザードデビルが魔導師系のモンスターだったからなのかもしれないけど、あのモンスター、兵士じゃなくて俺を直接狙ってきた……
とっさに盾騎士を出せたから無事ですんだけど、あのタイミングでCPが足りてなかったら死んでたんだ……
まずいな……兵士達が強くなれば強くなるほど、きっとこれは浮き彫りになってしまうのかもしれないけど、このままじゃ『最強軍団』ってスキルにとって俺は弱点になってしまう……




