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24/41

24 実感

 何で盗賊は何もない行き止まりの小部屋なんかに来たんだ?

 しかも、無理してモンスターに戦いを挑んだりして……



 勝手に出てきたときからおかしなことだらけだ。

 結果が出したくて焦ってたのかな……?


「クラムさん、ここにはアイテムは無いと思いますよ、クリスタルスライムは強敵ですし、戻りましょう」


「そうなんだけど……盗賊はなんでこんなことしたんだろう……」


 気になる……

 もしかして何が意味があったんじゃ……


「機械にはよくあることなんですが、正常に動作しているようで意図しない動きをしてしまうことなんて多々あることなんです、『バグ』と呼ばれるものですね、スキルである兵士くん達にそれがあるのかはわかりませんが、もしかしてそれに近い状況だったんじゃ?」


「う〜〜ん……」


 そう言われればそんな気もしなくもないけど……



ークラム! お前、何もできないくせに無理してんじゃねえぞ!ー


 はっ……!


 ギルドで過去によく言われてた言葉が突然頭によぎった。


 『何もできないくせに』……よく言われてたな。

 自分ではちゃんと意味があるつもりでやっていたはずなのに……


 使えないスキルを持っていただけで全ての行動が無意味だと思われてだんだよな……悔しかったな……


 待てよ、それって今の盗賊と同じじゃ……


 ただレベルが一人上がってないってだけで、やろうとした行動が全部『悔しかった』で片付けられてしまってないか?


 これまで盗賊が使えないアイテムを持ってきたことなんてなかった。

 進んだ先にモンスターがいてそのモンスターと戦おうとしたのなら、そいつに何かあるかもしれないんだ。




 クリスタルスライムは強敵……


 それでも俺は……



 盗賊を信じる!




ポポポポポポンッ!


「ウオォォォォォォ!!」

「タァッ!」

「ヌゥゥゥゥゥ……」


 パワーアップした兵士達の力をここで見せてもらう!


「クラムさん、なんで?」


「盗賊は俺なんだ……」


「へっ…………?」


 エルレナちゃんがポカーンと目を白くさせる。


「俺が盗賊を信じてやらなきゃ、盗賊がかわいそうだ。うちのアイテム回収役がここにアイテムがあるって示してるんだ、なら俺はここを攻略する!」


「クリスタルスライムを?」


「こいつを倒すとアイテムが手に入るんだ! なら全力で倒してみせる!」



 勢いで出した兵士は


 傭兵×5

 狩人×3

 盾騎士×1

 

 CP:5/21


 まずは様子見といきたいところだけど、CPに余裕はそんなにない。


 やれるだけやってみる!


「盾騎士! クリスタルスライムを抑えてくれ!」


 盾騎士は「ヌゥ……」と唸りながらドシドシとクリスタルスライムに向かっていく。


 

「クラムさん本気なんですか? かなりの強敵なんですよ、見栄を張ってやられたら意味が……」


「俺は兵士達を信じてる」


「そうは言っても……」


「兵士達の強さは単体じゃなくて複数で集まった時に発揮されるんだ」



ガシィィィィ!


 クリスタルスライムと盾騎士の押し合いが始まった。


 自分の数倍はある巨大なモンスターに対して盾騎士は引けを取ってない。盾を押し当て視界を塞ぎつつ、壁に押していこうとしている。


 クリスタルスライムが押し合いに本気かはわからないけど、突然押し込まれてジタバタはしている。少なからず余裕な感じではなさそうだ。


 押し合いの隙を見て、傭兵達が攻撃をしかけにいく。



キィィィィン



 だめか……硬い体に傭兵の攻撃は通じないみたいだ。



ドッ!

ドドドドッ……



 おおっ!

 硬いと思ったクリスタルスライムの体に矢が刺さってる!


 剣による斬撃に対してはプルプルなのに硬度のあるこいつの体は強いけど、突き刺さる矢ならダメージが通るんだ!



 それなら狩人を増やしてダメージ増加を狙うべきか?

 残りCPは5だから狩人は出せて2体。


 ただここで狩人を出してしまうと、盾騎士がやられた場合にもう出すことができなくなる。


 まずは今出した兵士を信じて様子をみよう。





「すごい……盾騎士さんがスライムをしっかり抑えて傭兵さんと狩人さんを守ってる……」


 フフフ……エルレナちゃんならそうおどろいてくれると思ってたぞ!


「これが俺のスキルの強みなんだ」


 それがわかったのはつい最近なんだけどね……

 


「ああっ! スライムが魔法を使ってきます!」


「なにっ!?」


 クリスタルスライムの体が琥珀色に輝きだしている。魔力を集めてるんだ。

 ウソだろ……こいつ、魔法まで使えるのかよ……


 盾騎士はハイオークの時に魔法でやられてしまった、こりゃまずいぞ……



ボフ……ッ



「盾騎士ぃぃぃ!」


 盾騎士の周りに火の粉が舞ってる。

 まともに魔法を受けてしまった……



 あれ……でも消滅してない。


 今の魔法を耐え切れた……ってことなのか?



「ヌゥ……」


 盾騎士の構えている盾に刻まれた模様がぼんやりと光っている。

 この模様、盾騎士のレベルが5になったときにできたやつだ、魔法を耐えることができるようになってる!


 これのお陰で致命傷にならずに済んだんだ。


 それでも物理攻撃と違って全てのダメージを受け流してる訳じゃなさそうだ、もう何発も耐えれるものじゃなさそうだな……


「お前ら頑張れ! 倒せる相手だぞ!」


 成長した力を見せてやるんだ!

 いつまでもバカにされっぱなしのスキルじゃないところを見せてやれ!



「ウオォォォォ!」

「タァァァァ!!」

「ヌゥゥゥゥゥ!!」


 俺の声かけに呼応するように兵士達も声を上げる。



パァァァァァァン


 何発弓が刺さったんだろう……


 突然張り詰めた糸を切ったようにクリスタルスライムの体が四方に弾け飛んだ。



「倒した……?」


 強敵のクリスタルスライムを俺のスキルの力だけで、やれた……

ここまでお読みいただきありがとうございます!


ブクマや下の☆にチェックをいただけると今後の創作の励みになるのでぜひよろしくお願いいたします。

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