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転生したら魔王のペットだった件  作者: 西音寺 秋
第1章~ペット生活始まりました~
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● 第5話 ~ ミラージュの初休日 ~

「ミラちゃん。シフト表と給料じゃ」


訓練所崩壊事件の次の日、ミラージュはリルに一枚の紙と小さな革袋を渡された。


「おぉ!初給料!」


ミラージュら目をキラキラさせていた。


「ついでにミラちゃん今日、休日じゃから遊びに行ってくるとよいのじゃ。」


「え、今日、休日なのですか?」


ミラージュは思わずシフト表を見た。


…。確かに休みとなっている。


「そうじゃ。じゃから行ってくるがよい!それてと…。」


リルは水色の布地にピンク色のリボンがあしらわれたこの世界での財布をミラージュに渡した。


「これは?」


「ミラちゃんへのプレゼントじゃ。財布が無いと困るじゃろ?」


「ありがとうございます!リル様。」


「よいよい。では気をつけて行ってくるのじゃぞ!」


「はーい!」


ミラージュは嬉しそうに執務室から出ていくと服を着替える為にリルの私室へと向かった。


「お給料は金貨二枚に大銀貨が二枚…。と。」


服を着替えたミラージュは革袋から財布へ給料を移しながら前世の金銭感覚とすり合わせていた。


今まで見た感じでは


○ 銅貨 ー 十円


○ 大銅貨 ー 百円


○ 銀貨 ー 千円


○ 大銀貨 ー 一万円


○ 金貨 ー 十万円


○ 大金貨 ー 百万円


だいたいこれくらいだろう。


銅貨十枚で大銅貨一枚となり大銅貨十枚で銀貨一枚となるようだ。


結構分かりやすい。


つまり私の初給料は二十二万円位となる。


結構貰ってしまったようだ…。




ルーンの町でミラージュが最初に入った店は本屋である。


「う~ん…。歴史書や魔術書とか欲しいな…。」


この世界を知る為には歴史を学ぶ必要があるし、せっかくの異世界?なのだから魔法とか使ってみたいもんね。


しばらく迷った末ミラージュは『初級魔術書』と

『よくわかるルーンフェリアの歴史』を購入する事にした。


ミラージュが鼻歌混じりで店の外に出ると


「あら?ミラージュちゃん?」


と誰かに声をかけられた。


声のした方を見ると黒い傘をさしたゴスロリ服を着た女性がいた。


四天王「吸血(クイーン・オブ・)女王(ヴァンパイア)」ミザリーだ。


「あ!ミザリー様。こんにちは。」


「こんにちは。」


ミザリーは微笑んだ。


「ミザリー様も今日はお休みなんですか?」


「ええ。そうよ。今からカフェに行くのだけど良かったらミラージュちゃんもどう?」


「よろしいのですか?」


「ええ。勿論。」


「では、ご一緒させていただきます。」


こうしてミラージュはミザリーについていく事になった。






「ミザリー様がリル様にここを勧めたのですか?」



「ええ。父であらせられる先代と兄様を戦でいっぺんに亡くされて鬱いでらしたリル様をラトゥールにお誘いしたんです。」


ミザリーは優雅に紅茶を口にはこんだ。


「そういえばリル様、父様と兄様を亡くされたと言ってましたね。」


「ええ…。『侵略者』(アグレッサー)との戦いでね。母君も生まれてすぐに亡くしておられますのでリル様は天涯孤独の身になってしまわれたのです。」


ミザリーは悲しげに答えた。


「そうだったのですか…。」


「ええ。」


「私、頑張ってリル様の悲しみを癒します!」



「フフ…。頼むわね。」


ミザリーは微笑んでいた。




ミザリーと別れた後、ミラージュはとある店を訪れた後、城へと帰っていった。



「ただいま帰りました!リル様。」


ミラージュが執務室の扉を開けると


「お!お帰りミラちゃん。」


とリルが笑顔で出迎えてくれた。


「リル様、とても楽しい休日を過ごせました。」


「そうか。それはよかったのじゃ。」


「それと…。あのっ…。コレ。プレゼントです。」


ミラージュは少し照れくさそうに可愛らしい小さな包みを渡した。


リルが嬉しそうに包みを開けると中から蝶の飾りがあしらわれたヘアピンが出てきた。


「お、お財布のお礼です…。気に入ってくれたら嬉しいです。」


ミラージュがオズオズと言うとリルはガバッとミラージュを抱きしめた。


「ありがとうミラちゃん!とても嬉しいのじゃ!」


「良かったです。」


ミラージュはとても幸せそうに笑った。




…。つまらない日常、つまらない人生。

生きる事に疲れた…。前世の私はそうだった。


転生して暫くは何故こんな事にとも思っていた。


でも、今はそうでもない。



ファンタジーの世界に転生し、手のかかる飼い主の面倒を見る…。結構充実した日々を送っている!


天涯孤独の身であるというリル様をこれからも支え続けよう。


それが今、ここにいる意味だと思うから。


ミラージュは密かにそう誓ったのだった。



そんなほんわかとした雰囲気を壊すかのように


ドンドン


と扉をノックする音が聞こえた。



「入れ。」


リルはミラージュをそっと離した。


ガチャリと扉が開き入ってきたのは参謀のレインだった。


「どうしたレイン?何かあったのか?」


リルは椅子に腰かけた。


「リル様…。『ホール』が開く兆しが発見されました。」


レインは重苦しい表情で答えた。


「ほう。何処じゃ?」


「先日開いた山岳地帯に隣国ファルシア王国の東方…。更にはルーンから5km先の平原です。」


「何?そんなにも…。規模は?」


「どれも大規模な物と予想されます。」


レインはゴクリと息を飲んだ。



これが後の歴史書にも残る大規模侵攻の始まりだった。






5話目に突入しました。

次からは少しづつ戦争に突入していきます。



是非感想ないしレビューを宜しくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 戦の前のほのぼのした休日といった感じで面白かった。ミラージュのお返しがかわいかった。 [気になる点] お金の設定が間違っていましたw [一言] 次はシリアスで緊迫な展開になりそうなので、ま…
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