●第50話~断罪の太刀~
聖剣クレイモア輝く時、断罪の刃が悪を祓う。
「へ?…。クレイモア?何でここに…。」
アルベルは驚きの余り目を見開いていた。
「目覚めなさいアルベル…。コレは夢です。」
「夢?…。」
アルベルは呆けた顔をしていた。
「そう。夢なのです。」
その言葉と共にクレイモアから放たれた虹色の光がアルベルを包み込んだ。
─ あぁ、そうだった…。僕はベルフェゴールの攻撃にやられて…。
「…。ありがとうクレイモア。助かったよ…。」
「あ、いえ、あの…。そのぉ…。私はクレイモアではありません。」
「へ?」
「私は創造の女神セレシア…。その残滓です。」
クレイモアは申し訳なさそうにそう言った。
「あ、何かすみません。」
「いえ、別にかまいませんよ。聖剣クレイモアに宿り話していますから、勘違いされても仕方がありませんから…。」
クレイモア改めセレシアは苦笑していた。
「それにしても…。ここが夢なのは分かったけど、どうやって出たら良いのか…。」
アルベルは少し困ったような顔をしていた。
「それは…。」
聖剣クレイモアが何か言おうとしたその時!
「アルベル?誰かいらしているのですか?」
と、数回のノックの後、ガチャリとドアが開きリルが入って来た。
部屋に入ったリルはアルベル以外に誰も居ないのを見て不思議そうに首を傾げていた。
「…。誰も居ないよ。それよりも何か用があったんじゃないのかいリル。」
「そうでした。もうすぐ夕食が出来ますので呼びに来たのでした。」
リルは、ポンと手を叩いた。
「もうそんな時間かぁ。じゃあ一緒に行こうか。」
「はい。ちなみに今日はブレイブサーモンの塩焼きだそうですよ。」
「そうかぁ。僕の大好物だ。」
アルベルとリルは執務室から出て行った。
「…。ここから出る方法はまだ伝えてはいませんがアルベル…。貴方には少々酷かもしれません。ですから今はもう少しだけ待ちましょう。」
アルベル達が出て行った執務室で、聖剣クレイモアに宿るセレシアの残滓はポツリとそう呟いていた。
あれから数日が経ち、予定通りアルベル達はルーンフェリア王国を訪れていた。
「よく来てくれたねアルベル王、そして我が妹リル。そしてその娘と息子のミラとアルトよ。」
玉座に座る銀髪、金目の十九歳~二十歳位の豪奢な服を身に付けた美丈夫が優しげに微笑んでいた。
彼こそが義兄であるルーンフェリア王国の国王にして今代の聖杖ルーンの使い手である『魔王』セフィロ=フォン=ルーンフェリアである。
「セフィロ王よ。お招き頂き感謝いたします。」
と、セフィロとアルベルは挨拶を交わした。
「折角来たのだから是非とも我が国を楽しんで行ってくれ…。と、堅苦しい挨拶はここまでにして…。会いたかったよ。リル、アルベル、ミラ、アルト!」
セフィロは満面の笑みを浮かべていた。
「僕もだよセフィロ!」
アルベルも嬉しそうに笑っていた。
実は、リルとアルベルが幼なじみであるようにセフィロとアルベルもまた、幼なじみであり親友でもあるのである。
「お兄様ったら本当に嬉しそうですね。」
リルはコロコロ笑っていた。
「久しぶりに仕事ぬきで親友に会えたんだ。当然だろ?」
セフィロは少しむっとした顔をしていた。
「ま、そうだよな。王なんてやってたら仕事ぬきではなかなか会えないしな。」
「そうそう!」
セフィロとアルベルは顔を見合わせ笑っていた。
その後、アルベル達は前国王ルシフェールに挨拶したりたわいのない会話をしたりして過ごした。
そうして一日を過ごしたアルベル達はエルトリア王国へと帰国した。
その日の夜…。
「…。決心がついたのね?アルベル。」
夜中にひっそりと執務室を訪れたアルベルにクレイモアもといセレシアの残滓がアルベルに問いかけた。
「ああ。」
「…。なら、前に教えたように私を手に取りあの技を使いなさい。」
「あぁ。分かった。」
アルベルはクレイモアを手に取ると、つい先日教えられた事を思い出していた。
- 貴方に縁のある場所…。特に強い思い入れのある場所なら尚良いわ。そこで秘奥義『断罪の太刀』を使い空間を切り裂きなさい。そうすれば夢から出られるはずよ…。 -
「…。強い思い入れのある場所、か。」
アルベルは長距離転移を使い、一番思い入れのある場所…。ルーンフェリア王国のとある場所へと訪れた。
「…。アルベル?ここは?」
「本来ならリルの父親と兄の墓のある場所だ。」
そこはルーンフェリア王都、ルーンを一望出来る小高い丘の上であった。
「アルベル。ここは貴方に何か関係がある場所なの?」
「まぁ、僕にとって一番大事な場所ではあるかな。」
不思議そうに問いかけるクレイモアにアルベルはそう答えた。
「…。昔、僕が強くなろうと誓った場所なんだ。リルがもう二度と理不尽に大切な誰かを亡くしたりしないで良いようにってさ。」
「アルベル…。」
- 今でも墓の前で泣きじゃくるリルの姿がつい先日の事の様に思いだせるんだ。ー
と少し悲しげにアルベルは笑っていた。
「さて、もうそろそろ切ろう…。アイツを倒してリルを助けに行きたいしね。」
アルベルはクレイモアを構えた。
その瞬間
『揺るぎない信念と慈愛の心を確認しました。覚醒条件を満たした事により聖剣クレイモアは神聖剣エルトリアへと超進化します。』
と、優しげな声が世界中に響き渡った。
これは『世界の声』と呼ばれる神の祝福により世界に大きな変化が訪れた時に聞こえる特別な声。
もう何百年以上も聞こえる事の無かった声である…。
虹色に輝く剣を振りかざし
「まさか女神様の祝福が貰えるとはね!いくよっ!神聖剣エルトリア!聖剣秘奥義!『断罪の太刀』!」
ザンッ!!
と、アルベルは空間を切り裂いた。
すると世界は純黒の闇へと変わった。
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