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朝からお風呂だった



 俺は部屋のドアをノックする音で目を覚ました。

 タクとヒカルが部屋から出ていった後、ベットの上でぼーっとしていたら、いつの間にか寝ていたようで朝になっていた。


「起きてるかなんだな?」


 外からタクの声が聞こえる。

 ノックの正体はタクだったようだ。


「起きてるぞー。 どうかしたか?」


 返事をしながらドアを開けるとタクとヒカルが立っていた。


「なんか王様たちがお風呂用意してくれたんだって」

「委員長が部屋に伝えにきたんだな。 おまえのことだから、僕たちが呼びに来ないと置いていかれるんだな」


 二人は委員長から話を聞いて、なかなか起きてこない俺を迎えに来てくれたようだ。

 昨日はなんだかんだで、変な汗を結構かいたから風呂に入れるのはありがたい。

 置いていかれるのは勘弁だな。


「サンキュー。 これからすぐ行くのか?」

「全員揃ったら昨日の騎士が案内してくれるそうなんだな」


 昨日の騎士……たぶんリーダー騎士のことだろう。

 王女様にでも頼まれたのかね?


「昨日、みんなで話した大部屋に集合だって」


 俺は部屋を出て二人と一緒に大部屋へと向かう。

 起きたばかりだからだろうか、途中トイレに寄る。


「トイレ寄ってくから先行っててくれ」

「終わったら早く来た方がいいんだな」


 タクに手で返事を返しトイレに入りスッキリする。

 しっかり手を洗い、大部屋へと急ぐ。

 大部屋の前まで来たとき中から委員長の声がした。


「これで全員揃ったな。 では浴場へ行こうか」


 また忘れられてる……

 委員長よ、昨日からちょっと俺のこと忘れすぎではないだろうか?


「……ちょっとまて! 俺を忘れてるぞ!」


 大部屋の扉を開け委員長に叫ぶ。

 委員長もその声にビクッと反応していて、中にいたみんなもこちらを注目している。

 だが注目されたのも一瞬だった。


「……じょ、冗談じゃないか……こ、これでホントに全員揃ったな。 騎士さんお願いします」


 今の感じはガチで忘れてた人の反応だよね!

 その光景を見てか、タクとヒカルは端の方でクスクス笑っている。

 おまえら二人も俺がいないの分かってるんだから、委員長になんか言ってくれよ。


「それではこれより浴場へと案内する。 私の後に着いてくるように!」


 喋りだしたのはリーダー騎士やっぱコイツがいた。

 昨日の時点で俺らが顔を知ってるのは、王女様たちを除くと騎士連中だけだからあたりまえか。

 今日は昨日とは違い部下も女性を二人しか連れていない。

 昨日のやり取りである程度は危険がないと判断してくれたようだ。

 その後はリーダー騎士に付いて、下へと降りること数分風呂場へと着いた。


 当たり前たが男女別だった。

 何人かの男子は少し期待していたようで、リーダー騎士から男女別だと聞いて落胆していた。

 リーダー騎士と一緒にいた女性騎士は、女子たちのサポートをするために連れてこられてたみたいだ。


 風呂場の中には普通に銭湯みたいな感じだった。

 違うところがあるとすればお湯が温いくらいかな。

 委員長がリーダー騎士に聞いていたが、この国は温暖な気候にあるらしくいつも温いらしい。

 俺はどちらかと言えば熱い方が好きなんだがなー。

 城下の民はお湯には浸からず、濡れタオルで体を拭くか、水浴びが基本的らしい。

 俺はどちらかと言えば熱いお湯のが好きなんだがな。


 タクとヒカルと一緒にゆっくり風呂に浸かって癒されていると、なにやら固まってヒソヒソやってるやつらがいた。

 聞き耳を立ててみると、どうやら女風呂を覗こうと話し合ってるみたいだ。

 身体能力が上がってるからと、ジャンプしてみるが壁の上までは届かない。

 体重順に積み上がってみたが、足場が悪くバランスを失い崩れる。

 最後の手段と壁の隙間に捕まり登ろうとしていたが、半分くらいまで行くと、特別な魔法がかかっているようで、ズルズルと滑って下まで落ちて来てしまい登れなかった。

 最後は委員長とリーダー騎士に見つかり怒られていた。

 まぁ自業自得だろう。

 やつらを見てて思ったが確かに身体能力は上がっているようで、垂直飛びで二メーター半くらい飛んでいたし、組体操みたいなのは一番下が五人は乗せていたし、壁登りでは指先だけで三メーターくらい登っていた。

 やっていたやつらも、体力測定では中の下くらいで身体能力はそれほど高くなかったし。


 三十分もすると男子はみな風呂から上がって水を飲みながら、のんびりと女子たちが出てくるのを待っていた。

 先に大部屋へと戻っていたが、女子たちが戻ってきたのはそれから一時間後だった……

 俺たち男子は女の子の入浴時間をナメていたようだ。

 昨日、入れなかったのもあるのかゆっくり入念に入っていたようだ。

 委員長はさすがに長すぎると注意しようとしていたが、普段見ることのないクラスメイトの風呂上がり姿にドギマギしてしまい、声をかけられなかったみたいだった。

 女子たちも戻ってきて各々がお喋りしたりしていると、大部屋に王女様が入ってきた。


「皆さまゆっくりできましたでしょうか?」

「はい。 お風呂もありがとうございました」


 委員長が代表して肯定の返事を返す。


「これから王様に会って昨日の返事をしていただきますので、謁見の間へとお願いいたします」


 リーダー騎士にでも任せればいいのに、王女様は俺たちを迎えに来てくれたようだ。

 そのリーダー騎士だが王女様が来た途端、すぐに王女様の後ろへと侍っていた。


「わかりました。 場所をしっかり覚えないのですが、僕たちは王女様に付いていけばいいんですか?」 


 この王城は広いし結構あちこち迷路みたいになっていて、昨日一回通っただけでは謁見の間まで自分たちで行くのは難しい。


「私がこちらへ伺ったのは、皆さまをご案内するためですのでご安心ください」


 この王女様は俺たちに結構気を使ってくれているようで、お風呂も王女様が王様に言って使わせてくれたみたいだ。


 そして俺たちは王女様に付いて、昨日の通ったであろう道を引き返し謁見の間へと向かった。




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