第一回クラス会議だった
王女様に着いてきて歩くとこ十数分、俺たちはひとつの大部屋へと案内されていた。
部屋の広さは大体学校の教室くらいの大きさで、俺たち全員が入っても全く問題なかった。
「話し合いにはこの部屋をお使いください。 寝室は別に一人ずつありますので、お話が終わりましたら各自ご案内いたします」
こことは別に寝るところを準備してあるそうで、しかも一人ずつ個室だと言う。 結構高待遇だった。
さすがに女もいるし、男女一緒にこの部屋で雑魚寝は無理だろう。
それを期待したであろうやつらは驚愕した顔をしている。
対象的に女子たちは安堵の声を出している子もいれば、期待したしてた彼らに、軽蔑的な視線を送ってる女子もいた。
「ではこの部屋を使わせてもらいます」
委員長は王女様に頭を下げ言った。
「みんな、これからクラス会議を始めるがいいか?」
俺たち全体から肯定の声が上がる。
それを聞き委員長は頷き言葉を続ける。
「まず始めにあの王様の話を信用するか、どうかの問題だ。 直接話してみた感じ、僕はある程度は信じてもいいと思っているが、みんなはどうだろうか?」
王様の表情や声から結構切羽詰まってる感じはしたし、国で一番偉い王様が俺たちに簡単に頭を下げたのを見て、俺たち全員ある程度は王様のことを信用してもいいと思っていた。
「みんなも同じならよかった」
みんな同じ気持ちで委員長もホッとしたようだ。
「次に戦いに『参加するか』だが……細かいところまでは聞かないが、みんなの能力を教える欲しい。 戦闘に不向きな者は、戦いには参加させられないから、戦闘向きの者だけ手を上げてくれ」
するとみな、ぞくぞく手を上げ始めた。
もちろん俺も明らかなる戦闘職なので上げている。
回りを見ると大体クラスの三分の二くらいは手が上がっている。
「ふむ……結構多いな。 今、手を上げている中で戦いたくないと言う者は手を下ろしてくれ」
俺は上げたままだったが、他のみんなは委員長の声を聞き半分以上が手を下ろしていた。
残ったのは俺を入れて九人、男子五人の女子四人だ。
「全部で九人か……僕も入れて十人だな。 上がった手が残らない可能性も考えてはいたが、残ってくれてよかった」
自分も手を上げながら委員長はそう言った。
「僕も含めた参加するつもりの十人には、理由とステータス上の職業を聞こうと思う。 僕から言うので、残りは前から順番に話していってくれ。 まずは理由だが、僕は困ってる人を見過ごせない。 助けを求めてるいるなら助けて上げたいと思っているからだ。 職業はについては賢者だ」
委員長をやってもらって心強いが小言が多いし、融通が利かない。
周りからみるとちょっと正義感が強すぎる。
自分が話終えると、委員長は視線で次を促す。
そして一番前にいるやつが喋りだす。
「えっと、俺は……死にたくないからだ。 このまま何もしないでいても死ぬなら、やった方がいいと思った。 職業は戦士……以上だ」
彼は締め黙る。
すると次の人が話しだす。
「私は元の世界に帰りたいから。 家族にだって会いたいし、向こうでやりたいこともたくさんあるし、だから絶対に帰りたい! 職業は剣士」
話が終わると次へ次へと順番に話していく。
六人、七人と話が終わったが、大体1人目二人目と理由は一緒にだった。
職業は賢者と魔法使い、弓士以外はみな前衛職で戦士、剣士、双剣士、拳闘士だった。
残りは俺とタクともう一人の三人を残すのみだ。
まずはタクが立ち上がる。
「僕は自他共に認めるオタクなんだな。 そんな僕がこんなファンタジーな世界に来て、しかも力も手に入れてなにもしない訳ないんだな! そこに丁度良く王様の話を聞いてコレだと思ったんだな。 それと僕の職業は銃士なんだな」
タクの言葉にみんなも呆れている。
俺もオタクに足を踏み込んでいるから、タクの言ってることもわかる。
異世界ファンタジーって聞いたら、しかもチートありで頑張れば漫画みたいに俺TUEEEが出来る可能性があるのだ。
死ぬ可能性もあるから自重するが、確かに心が踊る。
そしてもう一人は、俺とタクとよくつるんでいる 小山 ヒカルだ。
ヒカルは引っ込み思案でこりゃまた人見知りで、趣味のことはある程度話せるタクとは違い、こちらは筋金入りだ。
本当に仲良くなった人としか話さない。
手を上げていたのも、俺とタクが上げていたから釣られて上げたんだと思うが……
「ぼ、僕が……て、手を上げたのは……しょ……職業が……ゆ、ゆ、ゆ……勇者だったからです」
ヒカルは吃りながらも、みんなに聞こえるようにそう言った。
ヒカルのとんでも発言で一同静まり返る……
……いや、勇者って……ひかるがか?
この職業はどうやって決まったんだろうか?
ランダムだったら俺の職業はピッタリ過ぎるし謎だ。
「……小山、勇者と言うのは本当か? 本当なら僕たちの職業なんて、霞むくらい凄いことだぞ!」
委員長が問いかけるとヒカルは頷いて答えた。
「だが、強制では無いし、無理してやることもないぞ?」
無理していると思ってなのか、委員長は心配するようにそう言う。
「キエルくんと……タクくんも、い、いるし大丈夫です」
やはり俺とタクがいるのも影響していたようだ。
「そうか……これで全員話したな? それでは……」
「ちょっと待ってくれ! まだ俺話してないって!」
また俺は忘れ去られていた。
そりゃあ、ヒカルのインパクトは出かかったが話の流れで俺の名前出てたよね?
「えっ……渡来少し前に放してなかったか?」
クラスのみんなも同じようなことを思ったのか、委員長と同じような顔をしていた。
みんなが俺に興味ないのはわかってたけど、手を上げてたんだからもう少し注目してくれよ!
「いや、話してないけど……もういいや。 どうせ話すことなんて前の人と同じだし。 えっと……一応、職業は暗殺者です」
ってもう誰もこっち向いてないし!
いくらなんでもそれはないんじゃないかな……
「……暗殺者か。 おまえにピッタリな職業なんだな」
横にいたタクがポンポンと肩を叩いて慰めてくれた。
ヒカルも俺の服を軽く引っ張りながら、タクの言葉に頷いてくれていた。
ホント、おまえらがいてくれてよかったよ。