そう呟くと、ステータスだった
謁見の間に入りしばらく待っていると、俺たちが入ってきたのとは、別の奥にある扉が開いた。
そこから入ってきたのは先ほど別れた王女様と年配の優しそうなおじさんだった。
王女様と一緒にいるということは、王様ぽい服に頭に王冠が乗ってるし、あの人が王様なんだろう。
その後から何人かの人が続き部屋に入ってくる。
ここまで一緒に来た騎士達も、入ることが許されたようで部屋に入り、壁際に並び立っている。
「王様が入室される。 みな頭を下げろ」
王様の後から入ってきた男が、そう部屋に響くように叫んだ。
騎士達や他の人たちも、その声にすぐさま頭をさげる。
たぶんそれはここでは日常のことなんだろうが、そんなこと全く知らない俺たちは対応できず、ポカンとして動けずにいた。
「お前たちも早く頭を下げろ!」
先ほど叫んだ男が俺たちへとそう怒鳴る。
その様子に慌てて俺たちは頭を下げた。
「出来るのならもっと早くやれ!」
「宰相や、よいよい。 彼らはまだこの世界に来たばかりの身、こちらのことなど何も知らんのだ」
さらに怒鳴り散らそうとする宰相と呼ばれた男を、王様らしき男が宥だめる。
宰相もそう言われ大人しく黙り頭を下げる。
「おぬしらも申し訳なかったな」
王様だと思われる男がこちらにも話しかけてくる。
「いえ、そのようなことは……」
委員長が代表して答えるか、その声は若干震えてる。
「そうか。 まずは自己紹介から始めようか。 我はウィリアム・イストランデ、この国の王をやっておる。 よろしくな」
先立って王様がこちらに挨拶をしてきた。
それに委員長も気後れしながらも返事を返す。
「よろしくお願いします。えっと……私は持田 スグルともうします。一応ですが、この集団のまとめ役をしております」
委員長も王様へと自己紹介をし自分が代表だと伝える。
王様もそれを聞き大きく頷く。
「それでは何からはなそうか……」
「おそれいりますが、なぜ私たちをこちらへ呼んだのでしょうか?」
王様が視線を巡らせながらそう呟くと、委員長がそう質問した。
「我らがおぬしらを召喚したのは、この国を救って貰いたいからだ。 我らの国ひいては世界中の国が、今、魔族の脅威にさらされていおる。 その魔族達を打ち払ってもらいたいのだ」
王様は申し訳なさそうに俺たちはに向かってそう言った。
「国を救うといいますが、私たちはなんの力も持たない子どもです。 それでどのようにして救えと? 戦えと?」
委員長もそれにはしっかり反論する。
確かに俺たちはただの学生で大きな力は持ってない。
とてもではないが戦ったりできる訳がない。
「力を持たぬか……それはおぬしらの世界でのことだろう。 こちらに召喚されるさいに、それぞれ何かしか力を授かっているはずだ。 召喚の時に用いた文献にはそう書かれておる」
王様は当たり前のようにそう話す。
「しかしながら、私たちには何も変わったようには感じないのですが?」
委員長の言うとおり、見た目などパッと見ても、特になにかが変わったようには思えない。
「ならばステータスと言ってみてくれ」
そう言われ俺たちは口々にステータスと声を出すと……
目の前に突然、半透明なウィンドウが現れた。
「となえたら、目の前になにか現れたのではないか?」
「はい」
「そこに書かれているのが、おぬしらが召喚のさいに手に入れた力だ。 そのウィンドウは見せても良いと思った相手にしか、見えないようになっておるから安心してよく読んでみてくれ。」
王様がそう俺たちに促す。
俺もその現れたウィンドウに目を向ける。
そこにはRPGとかでよくあるステータス表であった。
名 前 渡来 キエル 年齢 17
レベル 1
体 力 150
攻撃力 150
防御力 100
素早さ 200
魔力 100
職業 暗殺者
スキル
気配遮断 Lv.MAX 暗器術 Lv.1
闇魔法
Lv.1 シャドーボール【闇の玉を作り出し打ち出せる】
暗視 Lv.- 忍び足 Lv.- 暗器収納 Lv.1【収納数 1】
固有スキル
影魔法
Lv.1 影縫い【影を触る、攻撃することで相手の動きを止められる。 影魔法のLv.で拘束時間が変化する】
影の道
【気配遮断のLvに準じて、スキルの効果率アップ。 最大10倍】
思った通り俺は影の薄い職業だった。
しかも最初から気配遮断がLv.MAXとか……
明らかに裏家業特価のステータスだし。
強そうだからあまり文句はないけども……
「今、おぬしらが見ているものが召喚された恩恵だ。 それだけでは良く分からんであろうから、比較対象に一般的な成人男性のステータスを教えよう」
王様はそう言い宰相に目配せすると、宰相が一歩前に出てこう言った。
「一般的な成人男性のステータスはこれくらいだ」
一般男性ステータス Lv.1の場合
体 力 50
攻撃力 40
防御力 40
素早さ 30
魔力 30
「スキル等は個々に違うので何とも言えないが、平均してスキルも一つか二つだ」
一般男性のステータスを聞いて、みなビックリしたようだった。
そりゃあそうだ。
他のみんなのステータスはわからないが、俺でも少なくても二倍、素早さに関しては約7倍だ。
これがどれだけ早いか解るだろうか……簡単に50m走で説明すると、男性平均が7.5秒だとすると俺はその七分の一、約1秒で走れるわけだ。
初速とかの兼ね合いでもう少しかかるだろうが、そんなの微々たる違いだ。
つまり俺はオリンピック選手も真っ青な速度で走れるようになったわけだ。
「おぬしらに力があるかどうかは、そのステータスを見てもらえればわかるであろう。 その能力値が本当かどうかは明日にでも確認してくれ」
そう王様はそう一度この場をしめる。
「それでは話を戻すが、おぬしたちには我らと一緒に魔族を打ち倒してもらいたいのだ」
改めて頭を下げらながら王様は俺たちに頼んできた。