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そこは謁見の間だった

 


委員長が返事をしてからすぐ、俺たちは部屋を出るように王女様に促された。

 王女様に続くように一つしかない扉から出ると、壁に沿って両脇に背筋を伸ばし整列している騎士達がいた。

 王女様に部屋から追い出された後、なにかあった時にすぐ対応出来るように、待機していたようだった。

 王女様に続いて最初に部屋を出た委員長が、その光景を見てビビって止まってしまい、後ろの女子とぶつかっていた。

 俺はもちろん最後尾にいる。

 影の薄い俺は真ん中にいると、後ろからぶつかられるし、隣のやつに足を踏まれたりするからだ。

 今までの人生で前に出て得したことがないから身に付いた知恵と言うやつだな。


「姫様お怪我はありませんか?」


 リーダー騎士は出てきた王女様に真っ先に声をかけていた。


「なにもありませんでしたから、大丈夫です」


 王女様もあまりにも過保護にされ過ぎて、少し鬱陶しそうに返事をしていた。


「それはなによりです。 無事に説得できたようで、さすがでございます」


 そんな王女様の表情には気がつかず、リーダー騎士はさらに王女様を誉め讃える。

 なにかある度にこれじゃあ、あの顔をするのも解るきがする。


「それよりもこれから国王に彼らを紹介しにいきますので、あなた達は彼らを連れて先に謁見の間に行ってください。 私は国王を呼んでそちらへ向かいますので」


 王女様はそう騎士たちに指示を出し、自分は横にズレ俺たちを先に促す。

 騎士たちははその指示に従い、俺たちの先頭に立ち俺たちを連れて先に進む。

 その列にリーダー騎士は入らず王女様に付いて行こうとしていたようで、王女様の隣で待機していた。


「リカルド、あなたも彼らと一緒に行ってください」

「いや、王女様の護衛も必要かと」


 王女様にそう言われたリーダー騎士はやはり食い下がる。


「王城の中のさらに中枢にあるここになんの危険があるのですか? 此処が危ないのであればどこにいても一緒です」

「そ、それはそうですが……」


 欠片もリーダー騎士の言葉を取り合わず拒否する。


「早く彼らと一緒に行ってください。 くれぐれも彼らに失礼がないように!」


 さすがにそれ以上なにも言えないのか、リーダー騎士はトボトボと騎士達の列に入っていった。


「それでは皆様、私は国王を呼びに行ってまいりましので、騎士達と一緒に先に行ってください」


 その声と共に騎士達が先に進み始める。

 それに委員長が続き俺たちも前に進み始める。

 俺も最後尾からその列に続き進んでいると、端に避けている王女様が見えてきた。

 王女様とすれ違う時に一言呟いておくことにした。

 どうせ影の薄い俺がすれ違い間になにを言おうが気がつかないだろうが……


「王女様も大変だな」


 そう呟いて王女様の隣を通りすぎた。

 どうせ気がついてないだろうから、そのまま先に進む。

 後ろでなにか呟いていた気がするが気のせいだろう。


 騎士達の後ろについて、階段を上がったり下がったり、渡り廊下らしきところを渡ったりして進んで行くと、ここはどうやら城の中というのがわかった。

 王女様がリーダー騎士に言っていたとおりなら、王城だということだろう。

 時折窓から見える景色は街までは見えないが、建物の周りに壁が建っており、時折、前を歩く騎士と同じ格好をしている人が歩いているのが見えた。

 そんなこんなでそれなりに歩いて行くと、目の前に豪華で大きな両開きの扉が見えた。

 その扉の前まで来ると騎士達が立ち止まり、リーダー騎士が委員長に話しかけてきた。


「長らく歩かせて申し訳なかった。 ここが謁見の間だ。 君たちにはこの中で我らの王様が来るのを待っていてくれ。 私たちは許可が無いと入れない規則になっているのでな」


 そうリーダー騎士は言うと、謁見の間の扉を開き中に入れと促してきた。


「騎士様、ここまでありがとうございました」


 委員長が丁寧に頭を下げお礼を言った。

 それに続き俺たちも頭を下げる。

 扉を潜り謁見の間へと入る。

 なんと言うか……RPGとかにある王様に会う部屋そのままだった。

 そこはどう見ても、謁見の間だった。

 


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