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ドラゴンにも人権をくださいよ  作者: べくのすけ
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チクショー、ふて寝だ

現在、ドラゴンの襲撃による被害状況をまとめている。ドラゴンはいなくなったとはいえ、仕留めてはいない。再襲来に備えて街の全周囲を警備兵たちが警戒する。

消火活動が終わり、避難した人々が戻り始めている。被害報告も纏まってきているが、既におかしい部分がある。まず被害が街の中央通りに集中しているのだ。

中央通りは石畳で整備されていて、周りの建物も石造りの物ばかり。燃える物はたいして無いのに、どうしてドラゴンはココを集中攻撃したのだろうか。まぁ、おかげで火災もなく、死者0という結果に終わったことは僥倖というべきだろう。

あのドラゴンは弱かった?いや、そんなことはない。ドラゴンブレスが着弾した場所は大きく石畳が抉られているのだから、直撃すればただでは済まなかっただろう。何にせよ中央通りは穴だらけにされ、復旧には時間がかかる。

ドラゴンの奇妙な行動はそれだけには留まらない。何しろ街の上空に現れてから数分、存在を誇示するかのように空を旋回していたし、ブレス攻撃が始まったのも冒険者たちの攻撃の後だった。

どうにもドラゴンの行動に違和感を感じる、まるで素人のようだと。ブレスにあれだけの威力があるなら、もっと上空から街全体に対して爆撃を行えばいい。そうなれば街の大半の建物は木と煉瓦で出来ているのだからひとたまりも無かったはずだ。

そして驚くべきことだが、あのドラゴンは人語を喋ったのだ。やれ真竜だ、竜神だと騒いでいる連中がいるが、それは置いといて人語を解するということは交渉ができることを意味する。因みに普通の竜に話す知能は無い、あれはただの獰猛な獣だ。

今回の情報だけでも、あの方に良い報告ができそうだ。そのためにはどんな些細な情報でも取り逃さないようにしなければ。


「なーに考えてんだ、腹黒」


「あら~、ローガンさんお久しぶりです~」


「いや、さっき会っただろ、襲撃前、受付で!」


ああ、そういえば何処ぞの竜を取り逃がしたと言っていたか。一応直にドラゴンと戦った冒険者なので事情聴取をしておく。すると意外なことがわかった、あのドラゴンが取り逃がした竜だと判明したのだ。

それならばあのドラゴンの不可解な行動に仮説を立てられるというもの。つまりあのドラゴンはローガンたちによって住処を追われ、恨みに思ったドラゴンは彼らを追って街を襲撃した。

何しろ彼らは襲撃の1時間前に帰ってきてギルドで報告し、その後すぐドラゴンが襲ってきた。タイミングが合いすぎている。彼らがいた中央通りにしか着弾していないのも納得だし、最初の旋回も彼らを探していたとすれば説明がつく。

普通のドラゴンは人の顔など覚える知能はないが、あの真竜なるドラゴンは確実に相手の顔を覚えているのだろう。・・・ということはローガンたちの近くにあの真竜がまた現れる可能性が高いということ。これは報告に盛り込むべき情報だ。


「なるほど~、じゃあローガンさんに賠償請求していいってことですね~」


「なんでそうなるんだよ!」


「石畳って~高いんですよ~」


「わかってるよ!マジ止めてください!」


のんきに世間話をしているが、これからの予定を頭の中で整理していく。最重要なのは真竜とのコンタクト、そのために利用できるものは何でも利用すべきだ。この国は既に危機的状況にある、明日明後日に滅びたとしても何の不思議もないほどに。



どーもー、負け犬ルークでーす、とりあえず帰ってまいりました。もー身も心もボロボロです。体は自動回復しましたけどね。

こーいうときはアニメ見て、ふて寝するんです。だいたいアイツらヒキョーなんですよ。一対多数とか魔法とか、こっちは魔法が一切使えないってのにさ。はぁ、オレにもっと強力で問答無用な力があればなー。

このままでは人間たちに真竜(笑)として記憶されてしまう。とは言っても、どうやったら強くなれるのかが分からない。・・・もうめんどくさい、アニメ見てふて寝だ。

オレはディスクをゲーム機に入れて、映像の再生ボタンを押す。幾人かの魔法少女達の話が再生される。やっぱいいよね、魔法少女。


「そして魔法少女はツインテールに限る!」


ソファーに寝転がりながら、誰もいない虚空に対して断言する。まぁ、好みは人それぞれなのでほっといてもらおう。

この物語の中の2丁拳銃の娘が特に好みだ。頑張り屋がちょっと行き過ぎて、先輩から『少し・・・頭、冷やそうか』とか言われてしまうのだが。

努力し続ける姿勢はいつ見てもいいものだ、・・・何か自分にブーメランが刺さったような気がするが気にしないでおこう。

しかし作中で先輩は弾丸選びの判断速度と命中精度が大切だと教えている。そうなんだろうか?今回の自分に当てはめて考えてみる。

オレは今まで火炎弾のブレスは大型で避けられない程の数を撃てばいいと思っていた。だが今回の結果はどうだろう?おそらく1発も当たってないと思う。何せ、ブレスは連射が利かないので1発1発の間が結構大きいのだ。

では命中精度を上げるにはどうしたらいいのだろう。映像を見てオレは気付いた、それは弾丸の大きさだ。彼女らは弾丸を小さくまとめ、複数扱うことで死角をなくしたり、まとめて強力にしたりと万能的だ。

ブレス弾は直線でしか飛ばないので真似はしきれないが、ブレス弾を小さくすることはできる。つまり喉で発生したエネルギーを口の中で細切れにし舌に乗せ、その際舌を横に巻いて銃のバレルの役割をさせる。あとは息を一息に吐くのではなく、フッフッフッと小さく吐いていけばいい。そうすれば、ある程度連射も利きそうだ。

思い立ったら吉日だ、早速やってみよう。オレは考えた要領で天井部に極小のブレスを放ってみる。炎はたいして広がらないが、予想以上の速度と威力で天井に大きなヒビを入れる。ヤバイ、友人宅を傷つけちまった。あとで直さねば・・・。

真竜の住処は全体的に相当頑丈だ、人間の住処など比べ物にならない。これなら次の機会に役に立ちそうだ。・・・名前は、そうだな・・・「ヴァリアブル・フォース・ブリット」と名付けよう。


「やはり魔法少女はツインテールに限る!」


大事なことなので二度言っておこう。


ルークの持っているオーバーテクノロジーは神様たちが作りました。つまり、神様たちも魔法少女が・・・げふんげふん。

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