4月8日
四月八日。
金曜日は、割と人が多い。
「ごちゅーもーん!」
「はい」
「こーちゃと、ハンバーグ!」
「はい」
最も混んでいるのは土日ではあるものの、仕事から解放される金曜日は、夜の客が多いのだ。
憩いの場として使ってくれるのはありがたいが、夢見とメアリーが手伝っても手が足りないくらいである。
まさに、嬉しい悲鳴であった。
「……手が足りませんね」
「先輩でも、きついですか?」
「それは、まぁ」
全力で手を動かしながら、町田青年は思案する。
店がそこまで広くない為、入れる客もそこまで多くはない。
だが、それでも。出入りが多くなれば客の注文も増える。
今のところ、調理は町田青年だけで行っている。
捌ききれるかは、自信がないところであった。
「……夢見さん、手伝って貰えますか」
「モチロンですっ! 何しますかっ?」
「下拵えを。調理は自分が」
「リョーカイですっ!」
言われるままに、テキパキと作業を進める夢見に、町田青年はホッと息を吐く。
そうして、やや手持ち無沙汰な様子のメアリーに。
「メアリーさん」
「はいっ!」
「お客様から、空いたお皿を受け取ってください。一枚ずつで構いません」
「りょーかい、ですっ!」
やって欲しいことを言い渡しておく。
お手伝いが好きな彼女は、たちまち元気になって、客席の方へと飛び出していった。
「……人手か」
そういった気配りを経て。
確かに足りないが、悪くないと思うのは。
我儘だろうかと思い耽る、町田青年であった。
■メアリーの にっき■
きょうは おきゃくさんが よるに いっぱいだったよ!
めーちゃんも おてつだい いっぱいした!
おじちゃんも せんせーも ヘロヘロだったけど めーちゃんは まだまだ げんき!
だから にっきも かいちゃいます。 えへん。
でもでも おじちゃんに ぎゅーってして ごろんすると ねむくなっちゃうのは なんでだろうね?
おじちゃんだからかな? ふしぎ!
あしたもいいこと ありますように!




