4月6日
四月六日。
今週は、ちょっとだけ奮発していた。
「毎度あざッス!」
「はい。いつもありがとうございます」
「あざーすっ!」
珈琲豆の種類を、ちょっと増やしていたのだ。
店に出す用ではなく、まだ個人用である。
町田青年は創作に手を出していない時は珈琲を好む。
たまに飲み過ぎることもあるが、それ故に上達も早かった。
「……豆一つ違うだけなのに、結構香りも違うものですね」
「ねー。あじはにがにがなのにねー」
「ハハハ。まぁ、焙煎こだわってますからね!」
得意気に笑うスラッシャー上三に、感心した様に二人は頷く。
ノリの軽い男だが、珈琲に関しては誰よりも真面目であった。
だからこそ、“MARY”の珈琲は人気なのだろう、と町田青年は確信している。
「町田さんトコのお蔭で、ウチも儲かってるッスから。これからも豆が入用ならなんでも言ってくださいね!」
「えぇ。よろしくお願いします」
礼儀正しからずとも、真摯な態度に、町田青年もきちんと礼を以て返す。
がっちりと、握手が交わされた。
「「……今後共、宜しく!」」
男のやり取り、というものである。
その光景に、メアリーも「かっこいー」と拍手するのであった。
■メアリーの にっき■
きょうは スラッシャーおじさんが きてたよ。
スラッシャーおじさんは こーひーのおじさんです。
ぱんく!
まいしゅー こーひーの おまめを もってきてくれるよ! いいひと!
きょうは なんか おじちゃんと にやっとわらって あくしゅしてたよ!
なんだか かっこよかった!
せんせーに きいたら それが おとこのゆーじょー なんだって。
おとこのゆーじょーと おんなのゆーじょーって どうちがうのかな?
あしたもいいこと ありますように!




