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4月1日


 四月一日。

 満面の笑みで放たれた衝撃が、町田青年を襲った。


「……おじちゃん、きらい!」

「…………!?」


 言葉という暴力は、時として重篤な症状を齎す。

 こと嫌いという言葉は、至近距離から撃たれたマグナムよりも尚重い一撃であった。


「ぐぅ……っ」

「あれ、おじちゃん?」

「うぅ……」


 思わぬ痛打に、崩れ落ちる町田青年。

 しかし、当のメアリーは不思議そうに見るばかりだ。


「どーしたの? おなかいたいの?」

「い、いいえ……」

「あれぇ?」


 首を傾げるメアリーには、一切の邪気も嫌悪感もない。

 ただ純粋に、町田青年を気遣ってるだけだ。

 心の苦痛に悶えながら疑問を浮かべる町田青年に、メアリーはあっけらかんと。


「きょうは、えいぷりるふーるだよ?」

「は」

「えいぷりるふーる。ウソつきさんのひ! せんせーがおしえてくれたよ!」

「……あぁ」


 納得した、と町田青年は頷く。

 今日は四月一日。所謂四月馬鹿なのだ。

 ウソをついて良い日ということで、ウソをつく。何らおかしくない行動である。


「めーちゃん、うそつきました!」

「嘘を言われました」

「ホントはね、めーちゃんね!」

「はい」

「おじちゃん、だい、だい、だーいすきっ!」

「……はい」


 そうして、満面の笑みで、そう言われては。

 怒るに怒れないな、と思う、町田青年であった。


 ■メアリーの にっき■


 きょうは うそをついていいひなんだって!!

 だから めーちゃん たーっくさん うそつきしました!

 いつもは うそつき しちゃいけないひだもんね!


 でもでも うそつきさんは あんまり したくないな。

 なんか おむねが もやもやするもん。

 ごめんなさいしたら みんな ゆるしてくれたけど もうしないっ。


 あしたもいいこと ありますように!


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