3月31日
三月三十一日。
今日はお休みである。
「……ぎゅー」
「……どうかしましたか、メアリーさん」
「ぎゅー」
家の外に出ても良いが、昨日の男が気にかかる。
夢見から聞いた話を、町田青年は少し重く受け止めていた。
なので家からは出ず、今日はゆっくりと過ごすことにしている。
「ぎゅー」
「抱きしめればいいんですか」
「ぎゅー」
そんな折、帳簿を眺めていると、メアリーが足に抱きつき始めた。
ぎゅうぎゅうと足をしめつける彼女だったが、幼女の力では痛くはない。
ひょい、と抱き上げ、膝の上に乗せると、ぎゅ、と腹にひっついてしまった。
「ぎゅー」
「はい、ぎゅー」
「えへへーっ!」
メアリーが、どんな意図があってこうしているのかは知らないが。
満足そうにしているのなら、それでいいかと思う町田青年であった。
■メアリーの にっき■
めーちゃんは ぎゅーってするの だいすき!
せんせーの おなかは やわらかいけど おじちゃんの おなかは かちかち!
でも どっちも あったかいんだ!
でもでも めーちゃんの おなか くすぐるのは やー!
くすぐったいもんね!
あしたもいいこと ありますように!




