3月24日
三月二十四日。
今日はいつもより、メアリーは張り切っている。
「ん、しょ、ん、しょ」
「気をつけてくださいね」
「はーいっ!」
昨日の失敗のせいか、その足取りは慎重だが、その分沢山働いているのだ。
その健気さと微笑ましさ、そして危うさに、客も皆、微笑みながら注目している。
「おまたせしました! チョコケーキですっ!」
「はい、ありがとー」
「ありがとーございますっ!」
にぱ、と笑う金髪碧眼の幼女ともなれば、その破壊力は凄まじい。
その気のある男性客は勿論のこと、可愛いもの好きの女性客とてメロメロだ。
「ありがとうございました」
「ごちそうさまでしたー。また来るね、メアリーちゃん」
「またねー!」
メアリーは去る客にも手を振って応える。
接客としては、歳相応ながらも完璧なものだろう。
そんな彼女に。
「よく出来ました」
「……うんっ!」
と、町田青年は頭を撫でてやる。
それだけで、元気いっぱい。
閉店まで元気よくお手伝いするメアリーなのであった。
■メアリーの にっき■
きょうは いーっぱい がんばって おてつだいしたよ!
おきゃくさんも ゆめみせんせーも えらいねって ほめてくれた!
でもね ホントはね きのう しっぱいしちゃったから めーちゃん がんばったんだ。
おじちゃんは わかってたから よくできましたって ほめてくれたんだよ。
ぐって。 おやゆび たててくれたの。 うれしいね!
あしたも もーっと がんばるぞ!
あしたもいいこと ありますように!




