3月18日
三月十八日。
今日も今日とて“MARY”に入り浸る六天縁は、気分転換にメニューを眺めていたことで、その変化に気付いた。
「チョコプリン?」
「しんめにゅーだよっ!」
「ほう。そりゃぁまた」
メニューが一つ増えているのだ。
“MARY”では新メニューは“習熟代”として、一週間限定で割引にしており、それを目当てにする客もいる。
六天縁も、新メニューは取り敢えず頼む口であるからして、こういった変化は歓迎するべきことであった。
「では、チョコプリンを一つ」
「はーい! チョコプリンひとつでーっす!」
「はい」
町田青年はチョコプリンを冷蔵庫から取り出し、適度に盛り付ける。
器用とはいえ、元が素人なので、それ程豪勢なモノは作らない。
寧ろ素朴で、気安く食べられるモノを意識して作っていた。
「お待たせしました」
「ほう……」
カップに入れられたチョコプリンは、市販品や高級店の様な綺麗さ上品さはないものの、だからこそ気安く頂けるモノだ。
過度に期待し過ぎず、予想通りに。
一匙掬い、口に運べば、チョコレートの甘味とプリンの滑らかさが六天縁の口を楽しませる。
「……うむ、たまにはこういうのも、悪くないね」
「ありがとうございます」
「ありがとうございまーす!」
そんなやり取りを交わせば、自然と六天縁の気分も良くなる。
彼はついつい、甘いチョコプリンにも合う珈琲をおかわりしてしまうのであった。
■メアリーの にっき■
チョコプリンは おみせの めにゅーに なりました!
おんなのひとにも にんきだけど こーひーがすきな おじちゃんたちにも にんきです!
あまあまと にがにがが ちょうどいいんだって!
オトナのあじって やつなのかな?
でもめーちゃんは ぎゅーにゅーのほうが いいなぁ。
あしたもいいこと ありますように!




