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2月26日


 二月二十六日。

 今日は二十時と、ちょっと早めに閉店してから、本屋に来ていた。


「……ハードカバー本のラノベって読みます?」

「はい。文量があるのは、嬉しいです」

「相変わらず乱読家だなぁ……」


 そう言いながら、夢見は買い物カゴに幾つかの本を放り込んだ。

 町田青年は古本屋での購入を余り好まない。

 絶版本はともかく、新刊などは必ず本屋で買うことにしているのだ。

 新品を、自分だけの本を買いたい。

 夢見としては安上がりな方が良いとは思うのだが、こればかりは性分である。


「ねーねー、おじちゃん!」

「はい」

「かくざとーのおじーちゃんのほん、あるー?」

「えぇと……あ、新刊出てますね。買いましょう」

「はーい!」


 あれもこれもと、町田青年は本を手に取り、カゴに入れていく。

 それを他の客も、店員も、奇異な者を見る目で眺めていた。

 ……唯一、物陰からほくほく笑顔で見守っているのは、恐らく責任者なのだろう。

 彼からすれば、町田青年はとんでもないお得意様である。


「……この分なら、一ヶ月は持ちそうですね」

「いっかげつでよんじゃうの?」

「はい。一通り読んで、また楽しみます」

「へぇー……」


 感心した様に見つめるメアリーに、不思議そうに町田青年は首を傾げる。

 その様を複雑そうな顔で見守っているのは、財布を握る夢見であった。

 文豪が三人は飛んで行く量の本に、彼女は拘泥たる思いで。


「……せめて二ヶ月に伸ばしてください」

「えぇっ」


 町田青年に釘を刺すのだった。


 ■メアリーの にっき■


 きょうは おみせのあとで ほんやさんに いったよ!

 おじちゃんは ほんが だいすき!

 いろんなたなで いろんなほんを かってたよ!


 めーちゃんも ごほん かってもらったよ!

 おとこのこと おんなのこが いろんなせかいに いくおはなし!

 ゆめみせんせーに よんでもらうか おじちゃんに よんでもらうか まよっちゃうね!


 ゆめみせんせーは まんが? をかってたよ!

 えほんみたいだけど えほんじゃないの。

 ちょっと よくわかんなかったけど おもしろそう!

 めーちゃんも よんでみたいな。


 これから おじちゃんと ゆめみせんせーに ごほんをよんでもらうよ!

 こーたいで よんでくれるって! うれしい!

 あしたもいいこと ありますように!


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