325/326
12月31日
十二月三十一日。
今日が、二〇一六年最後の日だ。
「としこし!」
「そうねー。年越しそばねー」
「海老天、揚がりました」
「わーい!」
記念すべき二〇一六年最後の日。
そんな日に、町田青年達は何処に行くでもなく、自宅でゆっくりと過ごしていた。
メアリーの体調を気遣って、でもあるが、ゆっくりと、時間を噛み締めたかったのだ。
「としこしできました!」
「メアリーちゃんもオトナの階段を登るのねー」
「めーちゃんおとな!?」
「一段だけね」
「わーい!」
思えば、色々なことがあった。
予想できること、予想外なこと、嬉しいこと、悲しいこと。
色々なことがあって、色々な人と会った。
それが幸いであることは、間違いない。
「メアリーさん。夢見さん」
「はい?」
「なーに?」
「来年も、よろしくお願いします」
「……うんっ!」
「はいはい」
ふと。思ったことを口にすれば、二人は笑顔で答えてくれる。
「「よろしくおねがいします!」」
それが何よりも、何よりも、町田青年にとっての幸いであることは、間違いないのだ。




