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11月15日
十一月十五日。
昨日はスーパームーンだったが、生憎と空は曇っていた。
だが、今日は。
「……おつきさま、ちょっとみえるね!」
「見えますね」
雲の切れ間。
そこに足先をかける様に、月が顔を覗かせていた。
「きれー!」
「キレイねぇ」
「はい」
少し欠けてはいるものの、まん丸のお月さま。
それを窓から眺めるのは、やはり心地が良いものである。
「おっきいおつきさま、またみれる?」
「どうでしょう」
「数十年ぶり、って言ってたもの。当分は見れないかもしれないわね」
「えー!?」
残念そうにするメアリーに、夢見は苦笑する。
頭を撫でれば、ぐずるのはぴたりと止まるからだ。
「まぁ、そのうち来るわよ」
「わかった! めーちゃん、まってるね!」
「うんうん」
待ってる。
果たして、待つことが出来るのか。
少し不安が鎌首をもたげるが、それを顔には出したりは出来ない。
「いい子で、待ちましょう」
「はーい!」
できれば来年も、同じ様に。
そう願わざるを得ない、町田青年であった。




