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11月14日
十一月十四日。
冬にスポーツカットは、寒い。
「……くっ」
「ん!?」
早朝の肩車中に、町田青年は少しばかり頭を揺らした。
少しバランスを崩すメアリーだったが、町田青年がすかさず伸ばした手によって、事なきを得る。
「どしたのー?」
「いえ……くっ」
「わっ」
もう一度頭が、ぐらり。
今度はしっかり頭を掴んでいた為、安定していたが、どうにも様子がおかしい。
「だいじょぶ? おりる?」
「いえ、大丈夫です。ただ……」
「ただ?」
恥ずかしげに言い淀む町田青年に、メアリーが首を傾げる。
彼は、少しばかり小さな声で。
「……寒かったので」
くしゃみをしました、と言い繕うのであった。
おじちゃんもくしゃみをする。
メアリーの頭のノートに、また新たな知識が書き加えられた。




