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11月11日
十一月十一日。
今日は、ポッキーの日である。
「んっ!」
「えっ」
どこでそんな遊びを憶えてきたのか。
メアリーが咥えたお菓子……プリッツを差し出す様を、町田青年は困惑しながら見つめていた。
「ふふん」
「えぇ」
「ふぁもーん!」
「えぇ……」
かもーん、と言われても。
困り果てながらも、町田青年は冷静に状況を見返す。
現在は開店中。人も多く、少し忙しい。
故に最悪の手段は応じてしまい、ポッキーゲームを“成功”させること。
最善は……。
「今、火元から離れられませんので」
「むー」
「夢見さんとどうぞ」
「わーい!」
「ちょっ!?」
首謀者になすりつけてしまうことだった。
響く悲鳴と歓声を背に、町田青年は黙々と調理を続行するのであった。




