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11月8日
十一月八日。
何だかんだで、歳を取ると健康的なことをしたくなるものである。
そんなことを考えながら、まだ三十にも至ってない町田青年は小走りーーメアリーが疲れずに追いつける程度の有酸素運動ーーを続けていた。
「おひさま!」
「登って来ました」
「おはよーございますっ!」
「おはようございます」
一足遅れの朝の挨拶に、微笑ましい気分で彼は応じる。
とはいえ、日が昇るということは朝のお散歩も終わりの時間。
そろそろ朝餉と仕込みの為に帰らなければならない。
「急いで帰りましょう」
「おんぶ!」
「はい」
荷物を背負い、町田超特急は動き出す。
あったかくて、早くて、大迫力の展望台は、メアリーにとって何より楽しいものだった。




