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11月5日
十一月五日。
今日は、珍しく天ものだ。
「ピザー!?」
「うーん、どうしましょうね。カロリー気になる……」
少し高い買い物だが、割と事情もある。
今日は特に繁盛した為、食料品の在庫が残り少ないのだ。
明日発注が届き、それで心許ない部分を買い出しに行く予定だが、これ以上使う訳にもいかないのである。
「たまには、いいのではないですか」
「ダメですよぉ、注意一食デブ一生なんですから」
「せんせー、ブーさんじゃないよ?」
「油断するとすーぐブーさんになっちゃうのよねー」
悩ましげに言いながらも、夢見とメアリーの視線は宅配ピザ屋のチラシに釘付けである。
女性の悩みは尽きぬもの。答えが決まっているのは分かっているが、町田青年は黙ってその葛藤に付き合っていた。




