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11月4日
十一月四日。
今日は金曜日。だが、客足は大混雑、という程ではなかった。
「なんでだろーね?」
「お客さんも休んだから、じゃないかしら」
首を傾げるメアリーに、夢見は笑いながら説明する。
喫茶“MARY”は、メアリーに癒やされたいが為に客が集まる様な喫茶店だ。
勿論、常連達はその限りではないが、リピーターになる人々の多くは、それが大きな理由になる。
故に、日々の疲れが溜まった金土日は混み合うのだが、昨日は祝日。おやすみだったのだ。
「だから昨日はちゃんと休めたから、お客さんが来なくても大丈夫ーって感じじゃないかしら」
「なるほどー!」
夢見の説明を受けて、メアリーはぺち、と手をたたく。
いつだって夢見は、メアリーのわからないことを教えてくれる。
「でも、どーしてめーちゃんでいやされるの?」
「……さぁ、なんででしょうねー」
「むー?」
そして、いつだって教えるべきではないことは教えない。
頼りになる、せんせーであった。




