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11月1日
十一月一日。
メアリーが来てから、十ヶ月が経った。
日めくりカレンダーも、後、残り僅かである。
「……」
そう自覚した時に、ふと。
彼の腹の中に、不安が落ちてきた。
メアリー。彼女は、年を越せるのか。
「……だい、じょうぶ」
大丈夫、大丈夫と、町田青年は呟き続ける。
医者からの御墨付きだって貰っている。
健康的にも、何も問題はないのだ。
問題があるとすれば、己の、心の内である。
「……大丈夫」
時間があろうと、なかろうとも。
一年を、変わらずに過ごす。
町田青年はその答えを、ゆっくりと……飲み込んだ。




