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10月30日
十月三十日。
今日は、ハロウィンタイムだ。
「……とりっくおあとりーと!!」
「おうおう、菓子をやろう」
「わぁい!!」
例に漏れず、喫茶“MARY”でも行われるこのイベント。
メアリーは小悪魔風の衣装を纏い、夢見はエプロンドレスというか、コッテコテのメイド服である。
「メアリー(のコスプレ)は天使か悪魔か」で大激論があったのだが、メアリーには知る由もない。
「とりっくおあとりーと!」
「おっと、ゴメンね。お菓子は今……」
「此方をどうぞ」
「えっ」
菓子のアテがない常連客に、町田青年がそっと砂糖菓子を差し出す。
その皿の上に「一個五〇円」としっかり書かれている――夢見提案の、餌付けシステムである――のを見て、常連客は苦笑交じりに、五〇円を皿の上に載せた。
「とりーと!」
「はい、お菓子。これでいい?」
「わぁい!!」
喜び跳ねるメアリーに、常連客の顔も綻ぶ。
誰もが得するWin-Winの連鎖。
そんなハロウィン・イベントは、明日まで開催だ。




