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10月22日
十月二十二日。
今日は、曇り空だ。
「……降りそうかしらね」
「ふるかなー」
夕方、買い出しに行く折。
僅かに不安を滲ませながら、二人は呟く。
どんよりと陰った空は、あまり良いものではない。
傘は持ってきているが……買いに買った荷物を見ると、あまり喜べはしない。
「ちょっと、急いでいきましょ」
「うんっ」
それでもメアリーの手を引きながら、夢見はしっかりと帰路についていた。
小さな掌が温かいことに、少し、安心感を覚える。
町田青年を論破し、その読み通りの診察結果だった夢見だが、不安がない訳ではなかった。
ただ、町田青年の不安に乗じてしまえば、二人共冷静でいられなくなるだろうから、強く気丈にいただけである。
「転ばない様にね」
「はーいっ!」
だからこそ、この温かみこそが。
夢見にとって、一番安心できる「証拠」であった。




